
近年AI技術の活用シーンが増え、GPUの需要が急拡大しています。GPUの産業活用が広まる中、気軽に導入できる「クラウドGPU」が注目を集めています。
今回は、数多くあるサービスの中でもっともおすすめである当社モルゲンロットが提供する「M:CPP」の概要やメリット、導入する際のの注意点、料金プランを解説します。
AI向けのクラウドサービスを検討中の企業の皆さまは、ぜひ最後までご覧ください。
GPUクラウドの「M:CPP」とは?
「M:CPP」は、大手半導体メーカーのAMD社の「ハイエンドモデルのGPU」を好きなタイミングで利用できるGPUクラウドサービスです。
M:CPPは、利用者の環境ごとに細かくプラン内容を指定でき、カスタマイズ性に優れています。また、近年のAI需要に対応しているため、AI環境に必要なシステムや機能を必要に応じて搭載することができます。
GPUクラウド「M:CPP」のメリットや魅力
GPUクラウドのM:CPPには利用上でさまざまな魅力があり、JAXA STARTUPとして第一線で活躍中の「株式会社天地人」のほか、多くの企業で活用されています。ここでは、M:CPPを導入するメリットや魅力を紹介します。
最新のAMD製GPUを使える
M:CPPを導入すると、最新のAMD製GPUをクラウド上で使えるメリットがあります。実際のところ、M:CPPの一部プランでは、2019年に国内での販売が開始された「Radeon VII」を利用できます。
そのため、これからGPUを運用し始める場合には、M:CPPを導入し、時代に合ったGPU環境を整えると良いでしょう。
GPUモデル・CPU・メモリ容量のカスタマイズが可能
クラウドサービスの中には、一つのGPUモデルしか選択肢がない場合も多くあります。そのため、高スペックなモデルしか選べない場合には、コストパフォーマンスが悪くなってしまうこともしばしばです。
一方でM:CPPでは、「GPUモデル・CPU・メモリ容量」のカスタマイズが可能です。高性能なモデルはもちろん、低スペックモデルで気軽に試せるものまで幅広く対応しているため、自社に合わせてオーダーメイドができる魅力があります。
ベアメタルとプリインストールから選べる
M:CPPでは、OS等がインストールされていない「ベアメタル」と、ソフトウェアやライブラリがインストールされた「プリインストール」から選べるメリットがあります。そのため、IT担当者により自社用にサーバーを構築できる場合には「ベアメタル」を選び、一方でサーバーの構築ノウハウがない場合には「プリインストール」を選択することが可能です。
M:CPPには、それぞれの人材やノウハウの有無に合わせて、初期システム環境を柔軟に選べる魅力があります。
主流のAIフレームワークやライブラリに対応している
M:CPPは、主流のAIフレームワークやライブラリに対応しています。プリインストールを選択した場合には、次のライブラリ等をインストールしてもらえます。
・Tensorflow
・PyTorch
・CuPy
・mxnet
・ONNX
そのため、M:CPPを導入すれば、AI用の環境を構築する手間なく、すぐに始められる魅力があります。なお、M:CPPで利用できるフレームワークを詳しく知りたい方は、『AMDのGPUでディープラーニングのフレームワークの動作を検証』を参考にしてみてください。
AI用の環境構築をサポートしてもらえる
M:CPPでは、環境構築のノウハウを持つ専門家による「AnacondaとDocker」環境構築のサポートサービスがあります。Anacondaは、AI開発向けプログラミング言語のPythonの実行環境としてふさわしいツールで、DockerはAIアプリ開発の環境として活用されるプラットフォームです。どちらも、AIを開発するうえで重要なツールです。
M:CPPを利用すれば、時間と手間がかかる実行環境の構築も一からサポートしてもらえるメリットがあります。
GPUクラウド「M:CPP」を導入するときの注意点
M:CPPをうまく活用するうえでは、いくつか注意点があります。ここでは、導入するときの注意点を2つ紹介します。
データの準備は自分でする必要がある
GPUを使ってAIモデルを動かすには、学習や解析に用いるデータが必要です。M:CPPでは、AIを動かすうえで必要になるシステム環境は用意されていますが、AI用のサンプルデータは提供していません。
したがって、M:CPPでAIモデルを実行する場合には、データの準備を自分でしなければならない点には注意してください。
AIプログラミングのスキルが必要となる
AIを実現するためにはプログラミングをすることが一般的ですが、クラウドサービスの中には、AIモデルが実装済みでクリック操作のみでAIモデルを動かせるものがあります。
一方で、M:CPPではフレームワーク等の実行環境は構築されていますが、AIモデルは実装されていないため、AIプログラミングのスキルが必要です。
したがって、M:CPPでAIをするのに十分な環境が整えられていたとしても、プログラミングのスキルがない場合には、AIができない点には注意が必要です。
GPUクラウド「M:CPP」の料金プラン
M:CPPでは多種多様な企業のニーズに応えるために、次の4つの料金プランを提供しています。
・LOW COST
・MIDDLE CLASS
・HIGH CLASS
・ULTRA PERFORMANCE
ここでは、各プランの月額契約料金や利用できるGPU・CPUを紹介します。また、プラン内容から「どのような方におすすめなプランであるか」についても解説するので、プラン選びの際の参考にしてみてください。なお、紹介するプラン内容は、2023年3月時点のものです。
LOW COST
「LOW COST」は、M:CPPで利用できるもっともリーズナブルなプランです。LOW COSTでは、CPUのスペック別に次の3つのプランを提供しています。
プラン名 | GPUモデル(搭載数) | CPUモデル(コア数・メモリ数) | 月額契約料金 |
---|---|---|---|
LOW Ve-32-r7 | Vega 56(1台) | AMD Ryzen 7 2700(8個・32GB) | 58,400円 |
LOW Ve-32-i5 | Vega 56(1台) | Core i5 9400F(6個・32GB) | 48,400円 |
LOW Ve-32-i3 | Vega 56(1台) | Core i3 9100F(4個・32GB) | 47,150円 |
LOW COSTとはいえ、利用できるGPUはフルHD環境でも快適に動作できるハイエンドモデルです。また、CPUもゲーミングPCのCPUとして利用できる高性能なモデルが採用されています。
ただし、LOW COSTは、他のプランと比較するとGPUの搭載数が少ないため、お試しでGPU環境を導入したい場合や少人数の開発現場におすすめです。
MIDDLE CLASS
「MIDDLE CLASS」は、中期的にGPUの利用予定がある企業や個人向けに適したプランです。MIDDLE CLASSにおいても、CPUの種類別に次の3つのプランが提供されています。
プラン名 | GPUモデル(搭載数) | CPUモデル(コア数・メモリ数) | 月額契約料金 |
---|---|---|---|
MID Ve-32-r7 | Vega 56(2基) | AMD Ryzen 7 2700(8個・32GB) | 76,500円 |
MID Ve-32-i5 | Vega 56(2基) | Core i5 9400F(6個・32GB) | 66,500円 |
MID Ve-32-i3 | Vega 56(2基) | Core i3 9100F(4個・32GB) | 65,250円 |
LOW COSTと大きく異なるのは、GPUの搭載数が1基増えていることです。GPUの搭載数が多いほど、パフォーマンスも高くなります。そのため、MIDDLE CLASSのプランでは、LOW COSTと比較してよりスムーズな開発が可能です。
MIDDLE CLASSは、LOW COSTのプランでスペック不足を感じた場合にアップデートするプランとしてもおすすめです。
HIGH CLASS
「HIGH CLASS」は、本格的にGPUを利用して開発する企業や個人向けに適したプランです。HIGH CLASSにおいても、CPUのスペック別に、次の3つのプランに分けられています。
プラン名 | GPUモデル(搭載数) | CPUモデル(コア数・メモリ数) | 月額契約料金 |
---|---|---|---|
HIGH Ve-64-r7 | Vega 56(4基) | AMD Ryzen 7 2700(8個・64GB) | 122,700円 |
HIGH Ve-64-i5 | Vega 56(4基) | Core i5 9400F(6個・64GB) | 112,700円 |
HIGH Ve-64-i3 | Vega 56(4基) | Core i3 9100F(4個・64GB) | 111,450円 |
HIGH CLASSは、MIDDLE CLASSのGPU搭載数から「2基」追加され、またCPUのメモリ数も32GBから「64GB」に増え、GPU・CPU共に高性能なモデルへとグレードアップされています。
したがって、HIGH CLASSは、複数人の開発環境でも高パフォーマンスを維持したい場合におすすめのプランです。
ULTRA PERFORMANCE
「ULTRA PERFORMANCE」は、現在提供している中で、もっとも高性能なGPU・CPUモデルを利用できるプランです。
プラン名 | GPUモデル(搭載数) | CPUモデル(コア数・メモリ数) | 月額契約料金 |
---|---|---|---|
HIGH Ve-64-r7 | Radeon VII(2基) | Core i9 9900KF(8個・128GB) | 125,600円 |
ULTRA PERFORMANCEで利用できるGPU・CPUは、下位クラスものよりも高性能なモデルで、動画編集やゲーム開発にも活用されています。ULTRA PERFORMANCEは、現在進行形でAI事業を行っている企業や、オンプレミス型のGPUからクラウド型へ移行する場合におすすめのプランです。
GPUクラウド「M:CPP」の始め方
M:CPPのメリットや魅力を読むにつれて、興味が出てきた方も多いのではないでしょうか?最後に、M:CPPの始め方について、次の4つの流れに沿って紹介します。
1. 公式サイトから問い合わせる
2. エンジニアがヒアリング〜プランのご提案を行う
3. フリートライアルを開始する
4. 正式にご利用を開始する
ステップ1:公式サイトから問い合わせる
まず、「M:CPPの公式サイト」へアクセスしてください。アクセスすると、次のようなトップページ画面が表示されます。
そして、トップページの右上もしくは左下にある「START M:CPP」をクリックしましょう。すると、次のようにM:CPPへの問い合わせフォームが表示されます。表示される内容に従い、「氏名・メールアドレス」を入力してください。
なお、「備考」に「M:CPPの利用を開始したい」「検討中のため詳しく話を知りたい」など、具体的な問い合わせ理由を記載しておくと、この後の案内がスムーズです。
入力内容に間違いがないかを確認し、下側のある「送信」をクリックすれば、問い合わせ完了です。問い合わせから数日後、担当者から登録したメールアドレス宛てに連絡が来るので確認してください。
ステップ2:エンジニアがヒアリング〜プランのご提案を行う
M:CPPへの申し込み後、エンジニアによるヒアリングが行われます。そして、ヒアリングの内容をもとに、自社にあったM:CPPのプランを提案してもらえます。そのため、ヒアリングの前には、「導入目的や気になるプラン」をあらかじめ整理しておくとスムーズです。
ステップ3:フリートライアル開始
M:CPPでは、本格導入前に「フリートライアル期間」が設けられています。そのため、フリートライアル期間を利用して、「契約予定のプランで過不足がないか・コスト負担は適切か」をチェックしましょう。
ステップ4:正式に利用開始
プランに問題がなければ、正式に利用開始となります。
なお、M:CPPでは、利用期間中のアップグレード・ダウングレードにも柔軟に対応しています。そのため、自社環境の変化により契約したプランが合わなくなった場合には、別のプランへの変更を検討してみてください。
まとめ
当社モルゲンロットのGPUクラウド「M:CPP」について、概要やメリット、料金プランについて解説しました。
M:CPPには、初期システム環境やAI開発ツール、料金プランなど、提供サービスを柔軟にオーダーメイドできる魅力があります。また、実行環境の構築サポートやエンジニアによるプラン選定など、GPU初心者向けのサポートも充実しています。
M:CPPでは、初めてGPUを導入する場合にも安心して利用できるサービスを提供しておりますので、メール・電話からお気軽にお問い合わせください。