【2023】ディープラーニングにCPUは必要?注目すべきスペックとは

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ディープラーニングのCPU

人工知能開発において主流となっているのが、「GPU」を使った機械学習です。特に高度な機械学習手法として知られているディープラーニングは、GPUの用意なしには実行が困難な技術であり、事前に用意しておくことが欠かせません。

ただ、コンピュータを動かしている主なユニットは「CPU」であり、GPUはどちらかといえば副次的な存在です。

今回は、CPUでディープラーニングが実行できるのかどうかや、ディープラーニング向けマシンを構築する上で注目すべきスペックについて解説します。

ディープラーニングとは

ディープラーニングは「深層学習」とも呼ばれる機械学習手法の一種であり、高度なAI開発を実現する上で不可欠な技術とされています。

通常の機械学習の場合、学習データは開発者が加工を行った上で読み込ませ、速やかな学習を促します。一方で、ディープラーニングは、学習データの加工を行わず、そのままデータを読み込ませ、AIが学習過程で自らデータの特徴を判断し、複雑なタスクを解決できる能力を養います。

このような手法を可能にしているのが、ニューラルネットワークと呼ばれる仕組みです。人間の神経細胞から着想を得たニューラルネットワークは、複数の層にデータを行き交いさせることで、人間では気づかないようなデータの差異を発見する役割を果たします。

CPUとは

CPUとは

CPUとは、Central Processing Unitの略称で、主にコンピュータの処理全般を担うユニットです。あらゆる計算をCPUが一手に引き受けており、ソフトの動作やPCの起動、マウスの動作に至るまで、まさにコンピュータの核といえる存在です。

2000年ごろまで、PCはCPUがその動作を一手に引き受けていましたが、近年はグラフィック技術の進化に伴い、計算処理をGPUと分担して実施するようになっています。そのため、すべての計算をCPUが一手に引き受けているとは限らないのが今日のPC事情です。

CPUとGPUの比較

それでは、CPUとGPUにはどのような違いがあるのでしょうか?最も大きな違いは、その役割と計算アプローチの違いです。

CPUは、グラフィック以外のすべての処理を担当しているユニットです。それに対して、GPUはグラフィック処理に特化して計算処理を行うユニットであるため、それ以外のタスクには基本的に対応していません。

また、CPUはタスクを一つずつ計算する機構を備えているのに対して、GPUは一度に複数の同種のタスクを処理できる機構を備えています。グラフィック処理は同じようなタスクが大量に発生するため、並列処理ができる機構の方が、都合が良いためです。

ディープラーニングにCPUは必要?

ディープラーニングにCPUは必要

GPUはグラフィックに特化したユニットですが、ディープラーニングもグラフィック処理と似たようなタスクであるため、GPUがディープラーニングにおいて活躍しています。一方、CPUはディープラーニングの実行においては影が薄く、効果を発揮することはほとんどありません。

CPUはマシンの稼働に必要だがディープラーニングには貢献しない

CPUはマシンの稼働には必要ですが、ディープラーニングには貢献しません。というのも、CPUはあくまでマシンを稼働させるのに必要なユニットであって、ディープラーニングというピンポイントのタスクには適していないからです。

ディープラーニングを行うためのソフトを動かすのはCPUですが、計算を実行するのにはGPUが適しています。

CPUでもディープラーニングを行えるがメリットはない

CPUでディープラーニングを行うことが不可能というわけではありません。CPUでもディープラーニングは実行可能ですが、そのパフォーマンスは低く、実用性のある結果を得ることはまず不可能だと考えましょう。

そのため、たとえ格安のモデルであっても、GPUをあらかじめ用意しておくのがディープラーニング運用においては大切です。

ディープラーニング向けPCの構築で押さえておくべきスペック

それでは、ディープラーニング向けPCの構築においては、どのようなスペックに注目すべきなのでしょうか?

GPU

まず注目すべきはGPUです。GPUもスペックを細分化して確認する必要があり、主な確認のポイントとしては次の3点です。

CUDAコア数

CUDAコア数は、端的にいえばそのGPUの性能を表す数値です。CUDAコア数が大きいほど、GPUの性能は良いといえるため、まずはこの数字を参考にしましょう。

ビデオメモリ

ビデオメモリは、計算するデータを一時的に保管しておくための記憶媒体です。ビデオメモリが大きいほど保存容量が大きいため、計算スピードにも良い影響を与えます。

アーキテクチャ

アーキテクチャは、そのGPUの世代を表す項目です。その時々で最新のアーキテクチャを調べた上で確認することで、高性能な計算能力を期待できます。

メインメモリ

メインメモリは、マシン本体の計算処理を一時的に保管するための記憶媒体です。ビデオメモリとは異なり、ディープラーニングには直接影響はしませんが、メモリが大きいとスムーズにマシンが動作するため、ある程度性能が良いに越したことはありません。

CPU

CPUは先ほども紹介したように、ディープラーニングへの貢献度は高くありません。そのため、導入に当たっては効果なものを用意する必要は無いと言えます。

OS

OSはWindowsでもMacでも、基本的にはどれを選んでもディープラーニングを実行できます。ただ、マシン本体のカスタマイズ性を考えると、Windows製品を選ぶことが賢明です。

ストレージ

ストレージは、マシン上で扱う全てのデータを記録しておく媒体です。ディープラーニングには多くのデータを必要としますが、近年はクラウドストレージなどを活用するケースも多く、標準機能として大型のストレージを備えておく必要性は低くなりました。

ディープラーニング用マシンを構築する際のポイント

ディープラーニング用のマシンを構築する上では、上記のスペックに注目しながら、次のポイントにも目を向けることで、費用対効果の高いマシンを手に入れることができるでしょう。

GPUの性能を何よりも優先する

先ほども触れたように、ディープラーニング用マシンを構築する際、最も重要なのはGPUの性能です。予算内の範囲で、可能な限りスペックに優れるGPUを手に入れるよう心がけましょう。

GPUの性能にさえ優れていれば、CPUやメモリサイズが多少劣っていても、ディープラーニングに大きな影響を与えることはありません。最低限のスペックは必要ですが、優先順位としてはGPUが遥かに勝ることは覚えておかなければなりません。

電源やケースにも気を配る

可能であれば、GPUだけでなく電源装置やケースにもお金をかけられることが理想です。マシンの構築に費用がかかるのはもちろんですが、ディープラーニングは長期的な運用が必要であるため、電気代などの維持管理コストも想定しなければなりません。

質の低い電源装置やケースを選んでしまうと、必要以上の電力が求められたり、排熱効率に悪影響を与えマシンの不調や電気代の高騰を招いたりする場合があります。こういった事態を回避するためにも、ある程度ディテールにこだわれることは重要です。

学習データの確保にも予算をキープする

ディープラーニングはマシンが用意できたら、すぐに実践できるわけではありません。実のところ、ディープラーニングを含めた多くの機械学習は、どれだけ質の高い学習データを大量に集められるかが重要です。

特にディープラーニングともなると、必要なデータの量は通常の機械学習の比ではありません。大量のデータを用意するにあたっては、自前で用意するにも限界もあるため、他社のデータセットなどを活用する必要もあります。

その際、無料で手に入れられるケースは稀で、大抵の場合、データ購入のための料金がかかります。つまり、ディープラーニングのためにはマシンの費用だけでなく、データを購入するための予算も確保しておかないと、AIの開発を進めることはできないというわけです。

そのため、マシンの構築だけでなくデータの確保にも予算を割き、円滑なAI開発を促さなければなりません。

ディープラーニングでクラウドGPUを活用するメリット

GPUのスペック不足や導入コストの面で問題を抱えている場合、おすすめしたいのが「クラウドGPU」の活用です。クラウドGPUは、クラウド経由でGPUリソースを利用できるサービスで、本体が手元になくともネット経由で潤沢なリソースを確保できます。

安価な導入コストで利用できる

クラウドGPUは、ただ豊富なリソースを活用でいるだけでなく、導入コストが安価であることが最大の特徴です。ユーザーはGPU本体を用意する必要がなく、必要なリソースに応じたプランを選ぶだけですぐに利用を開始できます。

高額なGPU購入費用は発生せず、月額あるいは年額で使用料金を定期的に支払うだけで利用可能です。初期費用としてまとまった予算を確保できない場合、クラウドGPUは強力なパートナーとなるでしょう。

維持管理負担が小さい

クラウドGPUの場合、利用者がGPUサーバーのメンテナンスを行ったり、空調管理を行ったりする必要がないことも強みの一つです。GPUの維持管理負担は決して小さくなく、電気代や保守管理費用、さらには数年に一度GPUを買い換え、パフォーマンスを維持する必要があります。

これらの負担は、クラウドGPUであればすべてクラウド事業者側が負担してくれるため、ユーザー側で別途負担することはありません。

設置スペースを必要としない

本格的なディープラーニング運用の場合、オフィスとは別途GPUサーバーを設置するための場所を確保する必要があります。GPUサーバーのために広い面積のテナントを借りる必要があったり、データセンターをレンタルして場所を確保したりすることが求められます。

一方、クラウドGPUはネット経由で事業者からリソースが提供されるため、物質的な負担はユーザーに発生しません。設置スペースをわざわざ確保したり、テナント料の高いオフィスを借りたりしておく必要がなくなるため、固定費の経費削減につながります。

柔軟なリソース確保が可能になる

クラウドGPUの場合、リソースの確保がより柔軟になることも魅力の一つです。自社でGPUを管理する場合、リソース不足が発生した場合には、適宜買い足す必要があります。買い足すとはいっても、2台目だからGPUを安価に買えるわけではないため、100%の費用負担は変わりません。

一方で、クラウドGPUの場合、リソースが不足したらプランを変更するだけで、簡単にリソースを確保できます。利用料金こそ若干の変動はありますが、必要がなくなればプランをまた変更するだけで良いため、減価償却の必要もありません。

まとめ

ディープラーニングとCPU・GPUの関係や、どんなスペックに注目しながらディープラーニング向けマシンを構築すべきかについて解説しました。ディープラーニングはCPUで実行することは可能なものの、実用性は皆無に等しく、安価でも良いのでGPUを用意の上取り組むことが望ましいといえます。

また、マシン構築においてはCPUよりもGPUに注目することが何よりも重要です。性能に優れたGPUを導入するには、多くの予算を必要としますが、クラウドGPUを使えば導入のハードルも幾分か低くなります。

クラウドGPUであれば初期費用も安く、維持管理負担も小さいため、個人や諸規模な組織でも導入しやすいというメリットがあります。コンピュータのスペック不足に悩んでいる場合、クラウドGPUを活用して潤沢なリソースを獲得しましょう。

当社モルゲンロットが提供する「M:CPP」では、そんなディープラーニングに最適なクラウドGPUサービスを提供しています。運用コストは大手クラウドサービスの1/2程度に抑えることが可能で、これまでクラウドGPUを使っていたが、費用対効果を実感できなかったという方にもおすすめしたいサービスです。

MCPP

提供しているGPUサーバーはいずれもAMD製の最新GPUであり、スペックの面で劣ることはありません。サーバーはすべてユーザー専有で提供されるため、他のユーザーの利用状況から干渉を受ける心配もないことが強みです。

導入にあたっては、エンジニアがユーザーのニーズに合わせた最適なプランを提供するので、あれこれとプランに悩む手間も発生しません。クラウドGPUの導入を検討の際には、お気軽に当社モルゲンロットまでご相談ください。

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