【2021】機械学習で「特徴量の抽出」が重要な理由とは?具体例とディープラーニングとの関係

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機械学習の特徴量

ディープラーニングは機械学習をより高度に発展させた技術で、今日の人工知能開発に欠かせない技術となっています。ディープラーニングがどのような点で優れた技術なのかを考える上で重要なのが、「特徴量」と呼ばれる数値です。

今回は、この特徴量とはどういうものなのか、ディープラーニングとどういった関係があるのかについて紹介します。

特徴量とは

ディープラーニングの特徴量とは

特徴量は、簡潔に説明すると、コンピューターが物事を判断するために必要なデータのことを指しています。

特徴量の概要

人工知能が優れている点は、まるで人間のように自律的な判断ができる点にあります。

人間が物事を考え判断するときに使用しているのが、これまでの経験から得られた知識や知恵、そしてそこから導き出された未来予測です。人間は五感や脳など体をフル活用してこれらの判断を下す一方、人工知能はあくまでコンピューターであるため、人間のような判断を実現するためには数値データが必要となります。

そんなときに活躍するのが「特徴量」です。人間の年齢データや売り上げデータなど、数値化された情報をコンピューターに読み込ませることで、人工知能はじめて判断能力を身につけられるというわけです。

データ分析や特徴量について、より深く理解するために必要なのが「説明変数」と「目的変数」という2種類のデータです。

説明変数とは

説明変数というのは、何らかの因果関係を探る上で、物事に結果をもたらす上での原因となる数値のことをいいます。

例えば、毎年のコメの収穫量の推移データを参考にすると、その数値が算出されるまでの過程には、その年の平均気温や降雨量、働き手の増減や田んぼの面積の変化など、さまざまな要素を考慮できます。説明変数というのは、コメの収穫量に対する平均気温や、働き手の数といった数値のことを指しています。

そして、特徴量というのは説明変数に当たる数値です。

目的変数とは

一方の目的変数ですが、説明変数の結果を受けて出力される数値のことを指しています。上記のコメの収穫データの例の場合、毎年の収穫量が目的変数にあたります。

特徴量を正しく把握できることで、過去の目的変数においてどんな説明変数が影響していたかを理解し、その影響力を数値として理解できるようになります。AIに5年後、10年後のコメの収穫量の推移を予測させる場合、説明変数、もとい特徴量を正しく把握させる必要があるのは、このためです。

機械学習における特徴量の具体例

機械学習における特徴量の具体例

特徴量が実際に活躍する例について、もう少し別のパターンについても見ておきましょう。

具体例①:売り上げ予測

売り上げ予測は、特徴量を活用したAIの予測機能が活躍する場面です。過去の売り上げデータを読み込ませつつ、曜日データや天気、来店者数、周辺施設におけるイベントや、テナントのある商業施設の集客数などを説明変数として読み込ませることで、細かく過去データを噛み砕けます。

1ヶ月後や1週間後、わかる範囲で未来の条件をAIに入力することによって、条件に応じた予測結果を反映し、客観的な売り上げ予測データを作成できるという仕組みです。

どのような説明変数を指定して予測データを出力させるのかについては人間が手動で行う必要があり、どういったデータが有意なのかは素人目には判断ができないものです。

そのため、有意なデータをうまくAIに読み込ませるために必要なのが、データサイエンティストの存在です。データの扱いに長けた彼らにAIを育ててもらうことで、優れた予測性能を持ったAIを誕生させられます。

具体例②:画像認識

人間には視覚的なデータである画像も、コンピューターからすれば画素数の集まりです。特徴量の抽出においては、まず画像データにおけるピクセルの集合体を一つの数値に変換します。

例えば、健康な大腸とがん細胞に侵された大腸の画像を見比べる際、腫瘍が発生している部分のピクセルを抽出し、健康な大腸と比較さすることで、その違いをAIへ学習させることができます。

こういった健康な大腸の画像データとそうでない大腸の画像データのパターンの違いを大量に読み込ませることで、がん検診を自動化できるAIの開発を進められるという仕組みです。

特徴量選択が重要視される背景

特徴量選択が重要視される背景

このように、有益なAIを開発するための特徴量の抽出には、特徴量選択というプロセスを通過することが大切です。特徴量選択とは、その名の通り複数の特徴量を選択し、効果がある数値だけをピックアップするというものです。

ここでは、特徴量選択を行わなければならない理由について確認しておきましょう。

AIの質が特徴量の良し悪しに直結するから

上述の具体例でも少し触れたように、AIの性能というのはどのような特徴量を読み込ませるかによって決まります。どれだけ多くの特徴量を読み込ませても、それが未来予測に直結しないデータとなれば、AIは正しい予測結果を算出することはできません。

逆に、特徴量の数は少なくとも、それらが有意性の高い数値であれば、正確な予測結果を弾き出せるAIとして活躍します。特徴量というのは、それだけ人工知能のクオリティへ影響しているというわけです。

理解しやすいモデルの構築を促進するから

人工知能は、特徴量を読み込ませれば読み込ませただけ賢くなるというものではなく、適切なデータを適切な量だけ読み込ませることによって活躍できるアルゴリズムです。そのため、大量の特徴量を意味もなく読み込ませてしまうと、その多さが実際に学習を行う際に障害となる可能性もあります。

多くの説明変数に学習データがさらされることになるため、必要以上にデータの読み込みに時間がかかってしまうことになります。

また、目的の達成に関係のない特徴量が読み込まれてしまうことで、予測結果にノイズが生まれる可能性もあります。特徴量を読み込ませすぎたことで、かえって予測精度が低下するパターンです。

こういった事態を回避するためにも、特徴量選択によって読み込ませるデータは最低限かつ有意なものに限定し、シンプルなモデルの構築を心がける必要があります。

過学習を防ぐため

人工知能開発において厄介なのが、「過学習」という事態です。過学習とは、特定のデータベースにのみ最適化されてしまう現象で、本来期待されていたはずの汎用性がAIから失われてしまうものです。

過学習が発生してしまうと、アルゴリズムはすでに学習済みのデータにのみ精度が高く、未知のデータには精度が下がるという本末転倒の事態を招きます。

このような事態を予防するためには、最適な数の特徴量を選択し、AIの思考にゆとりをもたらす必要があります。特徴量選択は、過学習の防止にも役立っているのです。

ディープラーニングが画期的である理由

ディープラーニングが画期的である理由

特徴量選択の必要性については上述の通りですが、機械学習を実施するたびにデータを用意し、読み込ませる前に特徴量選択を行なうとなると、AI開発は非常に大きな負荷を伴います。

そこで近年注目を集めているのが「ディープラーニング」です。ディープラーニングは画期的な学習プロセスと言われていますが、その理由も特徴量に見出せます。

特徴量の自動抽出が可能だから

ディープラーニング最大のメリットが、特徴量の自動抽出です。ディープラーニングの仕組みを支えているのが、「ニューラルネットワーク」と呼ばれるシステムです。

ニューラルネットワークは三層構造を基礎とするネットワークシステムで、複数の層が相互に干渉し合うことによって、物事についての理解を深められるというものです。

そして、複数の層を行き来していく中で、特徴量を自動抽出できるのがこの仕組みの凄いところです。データを丸ごと読み込ませ、ネットワークの中で情報伝達を行うことで、人工知能が自動的に「何が一番重要な情報か」ということを理解できます。

特定のAI運用において、何が最も有意な特徴量であるかは人間があらかじめ判断することは難しく、トライアンドエラーを繰り返さなければ結果はわかりません。しかし、ディープラーニングであれば、ニューラルネットワークを活用し、自動的に特徴量を検出することができるのです。

少ない労力で効率的なAI開発が可能だから

特徴量を自動で抽出できるということは、特徴量選択のプロセスを丸ごとスキップしてAIを開発できるということです。つまり、少ない労力で精度に優れるAIを以前よりもスピーディーに作れるようになっているのです。

AI開発が遅々としてこれまで進まなかった理由には、ハードウェアのスペック不足もさることながら、研究者が少なかったことや、開発プロセスがスローペースにならざるを得なかったことも背景にあります。

しかし、近年は最新GPUの活用などハード面での進化に加え、ディープラーニングの登場などにより、優れたAIを効率的に開発できる手法も誕生しています。また、インターネットやテキストを通じて、AIを誰でも簡単に構築できるようなノウハウの共有が行われているため、AI研究や開発を志す人も増加傾向にあります。

今後、AI研究はますます加速し、最新技術をフル活用することで、より高性能なAIの誕生も期待できそうです。

特徴量の自動抽出で実現すること

特徴量の自動抽出で実現すること

特徴量の自動抽出が可能になれば、今後どのようなAI開発が実現するかについても一例を見ておきましょう。

自動運転などの高度なAI活用

一つは、より高度なAIの活用です。

これまでのAIといえば、マルバツで正誤判定したり、簡単な売り上げ予測を実施したりするにとどまっていました。しかし、ディープラーニングによって、短期間で高度なAIを構築できるようになれば、自動運転のような複雑なタスクもこなせるようになるでしょう。

自動運転AIの普及がいまひとつ進んでいない理由の一つに、運転は非常に多くの判断を必要としているため、AIに学習させるデータが多すぎるというものがあります。ディープラーニングが普及すれば、このような学習面での問題も解消が可能だと考えられます。

優秀なAIを安価な普及

高度なAIが普及しないのは、それだけ学習にかかる時間と金銭的なコストが大きくなるためです。学習データの収集もタダではないため、データベースから情報を仕入れる必要があります。

また、データを購入してもすぐにアルゴリズムへ反映できるわけではなく、データサイエンティストによってデータマイニングを行い、有意な情報を抽出しなければなりません。

一方、ディープラーニングによって特徴量を自動抽出できるようになれば、少ないデータベースでも有意な情報をうまく抽出し、優れたAIの構築を進められます。

スピーディーに学習を進められるだけでなく、必要データも最小限で済むため、データ購入の負担も軽減されます。この結果、著名な研究所や大手企業だけでなく、より一般に高度なAIを普及し、さらなる商品開発やサービスの提供へと応用できます。

シンギュラリティへの前進

シンギュラリティとは、人工知能の思考レベルが人間のそれを超越する瞬間を指します。現状、AIはいまだ人間の知能を超えてはいないとされていますが、特定のタスクにおける処理速度は人間のパフォーマンスをはるかに超えています。

人間のように、さまざまなタスクに対して万能な処理能力をコンピューターが有するのは至難の技術とされています。しかし、ディープラーニングの技術が進み、自律的な学習をどんどん進められるようになれば、いずれはAIが人間の思考能力を凌駕する可能性もあるでしょう。

未来のことについては定かではないものの、特徴量の自動抽出によって学習ペースが進むことで、このようなシンギュラリティの到来スピードを加速させていることも事実です。

まとめ

人工知能研究において、特徴量の選択と抽出方法の模索は、非常に重要な役割を果たしています。

特徴量抽出の効率化は、AI研究の効率化に直結しますが、それを実現しているのがディープラーニングです。今後ディープラーニングのさらなる効率化が進めば、特徴量抽出の自動化も進み、より高い精度でAI活用が可能になるでしょう。

AIの進化が人間を驚異にさらすリスクについても囁かれますが、より便利で安全な社会の実現も捨てがたいところです。

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