【2022】GPUの「クラウド化」で機械学習はどう変わる?活用のポイント

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グラフィック処理に特化したユニットであるGPUは、その性能の向上に伴い、多様な用途で活躍する機会が増えつつあります。用途が増え、その需要も増加傾向にある中、注目を集めているのがクラウドサービスを利用したGPUの運用です。

特に、機械学習においては多くのGPUリソースを必要とするため、クラウド経由で利用ができるメリットは大きいといえます。今回は、GPUをクラウド化することによって、機械学習にどのような影響を与えるのかについて解説していきます。

機械学習におけるGPUの役割

機械学習におけるGPUの役割

GPUは、「Graphic Processing Unit」という正式名称にもある通り、元々はグラフィック処理を前提として開発されたユニットです。グラフィック処理には膨大な計算が発生する代わりに、計算タスクそのものは同じものが並ぶため、その他のコンピューティングのような複雑さはありません。

この点に注目し、GPUは同じ計算タスクを一度に複数こなすことができるよう作られていますが、この設計は機械学習においても有力です。というのも、機械学習においてもグラフィック処理同様、同じような計算が大量に発生するので、GPUが有する並列計算能力が活かされるためです。

GPUの採用以前、機械学習の計算はCPUを使って行なっていました。しかし、CPUは汎用性を重視したユニットであるため、高速処理能力には限界がありました。

そこで、GPUを起用したことにより機械学習の演算能力は飛躍的に向上し、ディープラーニングのような高度なAI開発にも本格的に着手できるよう発展してきました。機械学習におけるGPUの台頭は、AI開発を次のステップへと押し上げるのに欠かせない契機だったといえるでしょう。

GPUのオンプレミス型とクラウド型の違い

GPUのオンプレミス型とクラウド型の違い

続いて、GPUのオンプレミス型とクラウド型で、どのような違いがあるかについて解説していきます。従来のGPU運用のスタンダードだったオンプレミス型が、クラウド型へと移行することでどのような変化が現れるのでしょうか?

オンプレミス型GPUについて

オンプレミス型GPUは、GPU本体を購入して、機械学習へと運用する使い方です。本格的なAI開発を進めていく場合、欠かせないのが豊富なGPUリソースです。

大量の計算を速やかに実行するためには、高性能なGPUを大量に用意する必要があるため、個人で高度なAI開発を行うのは難しいものです。

ただ、オンプレミス型GPUは一度購入して実装してしまえば、好きなようにGPUリソースを占有し、使い続けることができます。オフラインでの運用が可能なので、安定性にも優れていることが強みです。

クラウド型GPUについて

一方のクラウド型GPUは、オンライン経由でGPUリソースを確保することが特徴です。クラウドサービスを提供している事業者と契約し、プランを自社向けに組み、指定のリソースを供給してもらうことができます。

オンプレミスのように自社でGPUを賄う必要がなく、維持管理のメンテナンス負担も発生しないため、利便性に優れていることが強みです。オンライン環境でなければ運用はできませんが、その要件を持ってしてもあまりある恩恵を受けられるということで、近年多くの企業がクラウド型GPUの運用をスタートさせています。

機械学習におけるオンプレミス型GPU運用の課題

機械学習におけるオンプレミス型GPU運用の課題

クラウド型GPUの導入、およびオンプレミス型からクラウド型への移行が進んでいるのには、オンプレミス型が抱える課題を解消するためという目的もあります。安定性に優れるオンプレミス型が抱える課題として、次の3点が挙げられます。

リソース不足に陥りやすい

1つ目の課題は、リソース不足です。

オンプレミス型GPUの場合、GPUの導入は自前で行う必要がありますが、実際にGPUを運用するタスクに合わせてGPUを確保しなければなりません。そのため、大きな負荷のかかる機械学習のような用途となると、一度に大量のGPUを用意する必要があります。

また、AIのような先端技術においてはテクノロジーの進歩も早く、数年も経てば最新鋭のGPUを豊富に揃えてもリソース不足となる場合があります。

こうなると、新たにGPUを買い足す必要も出てくるため、短期間で成果を挙げなければ赤字続きになってしまいます。初期費用がかかることはもちろん、維持管理や買い足しの負担を考えると、継続的に無視できないコストが生まれることも考慮して導入しなければなりません。

環境構築に時間がかかる

2つ目の課題は、環境構築に時間がかかってしまう問題です。GPUを購入してすぐ機械学習を進められるわけではなく、GPUサーバーを設置して、フレームワークをインストールしてなどと、ある程度の時間がかかります。

また、GPUは近年需要の高騰により、適正価格で手に入れることが難しくなっています。予算内でGPUを揃えるためには、入荷を待たなければならないのが懸念点となります。

タイトなスケジュールでAI開発を進めたい場合、オンプレミスでは実現できない可能性もあるため注意が必要です。

リモート運用が難しい

オンプレミス型のGPU運用は、GPUを設置している場所でしか運用することができないため、働き方の多様化を促進したい場合には阻害要因となってしまいかねません。自宅で十分なGPUを確保することは難しいので、どうしても一つの拠点に足を運ぶことになってしまいます。

働き方改革を推進したいと考えている場合には、オンプレミス型の導入は足を引っ張ってしまう可能性があることも覚えておきましょう。

クラウドGPUで機械学習を実施するメリット

クラウドGPUで機械学習を実施するメリット

一方のクラウドGPUは、オンプレミス型で課題となっていた問題点の多くを解消できることが特徴です。機械学習に適用した際、得られるメリットについて解説していきましょう。

大量のリソースを確保できる

クラウドGPUのメリットとして大きいのが、大量のリソースを確保することができる点です。

オンプレミスの場合、GPUのリソースはあらかじめ購入した分に限られますが、クラウドの場合は従量課金制での利用が可能です。そのため、初期費用を抑えながら予算の許す限りリソースを使うことができます。

繁忙期と閑散期で使用量が変動する場合には、繁忙期に多くのリソースを契約し、閑散期には軽量なプランに変更して運用するといった使い方ができるため、効率良くGPUを活用できることが特徴です。

迅速に運用環境を構築できる

クラウドGPUの場合、ライセンスを契約してすぐに実装ができることも嬉しいポイントです。

オンプレミスのように時間をかけて用意する必要がないため、必要になればすぐに利用を開始できます。スケジュールに余裕がないときでも、頼りになる存在です。

コストパフォーマンスに優れる

クラウド型GPUは初期費用がオンプレミスと比べて飛躍的に安く抑えることができるため、予算に余裕のない方でも気軽に利用を開始できます。使った分だけ料金が発生する仕組みであるため、初期投資や日々の料金が無駄になることはありません。

必要に応じてプランを変更して、より財布に優しい運用方法を目指すこともできます。維持管理のコストも日々の料金に集約されているので、別途費用が発生する心配もありません。

リモート運用が実現する

クラウドGPUは、オンライン経由でリソースを活用するため、一つの拠点に業務が集中してしまう心配はありません。リモート環境でもオフィスと同様の運用が可能なので、働き方改革を推進したい方にとっても嬉しいサービスといえるでしょう。

クラウドGPUで機械学習はどう変わる?

クラウドGPUで機械学習はどう変わる?

クラウドGPUの導入は、機械学習にどのような影響を与えるのでしょうか?今後のGPU運用における変化について、具体的に確認しておきましょう。

より多くの研究者や開発者の登場を促進する

クラウドGPUの台頭は、さらに多くの研究者や開発者の登場を促進する機会を与えてくれました。安価に利用できるGPUとして活躍しているため、予算に余裕がない企業や機関、あるいは個人の研究者にも手軽に利用してもらうことができます。

これまでは予算の都合で機械学習の研究を見合わせていた場合でも、クラウドGPUの登場によって、速やかに進められるようになるでしょう。

ビジネス分野でのAI活用が加速する

研究機関での利用はもちろん、ビジネスにおけるAI活用にも期待が持てます。最先端の分野である機械学習は、高度なテクノロジー企業でなければ、予算を投下してAI活用を進めようという話にはなりませんでした。

クラウドGPUの登場によって、気軽にリソースを確保し研究できるような環境が整ったことで、ビジネス向けのAI開発も今後さらに進歩していくと考えられます。今後はハイテク企業に限らず、これまではITと縁もゆかりもなかった分野で、AI活用や開発が活発化するでしょう。

クラウドGPUを活用した機械学習のポイント

クラウドGPUを活用した機械学習のポイント

クラウドGPUを導入の上で機械学習を進める場合、どのような運用を心がけるのが良いのでしょうか?押さえておきたいのは、次の3点です。

機械学習の目的を定める

1つ目は、機械学習の運用目的を定めることです。

一口に「機械学習」とはいっても、その活用方法やアプローチは多様であるため、ゴール地点を定めていなければ効果的にGPUを活用できません。リソースの計算や運用プランを検討するためにも、あらかじめ導入目的を明確に定めておきましょう。

データサイエンティストを確保する

効率の良いクラウドGPU活用を進めるためには、データサイエンティストの存在も不可欠です。

機械学習やAIのような技術は、元知は統計学をルーツに持つ技術です。統計に強いデータ活用人材を積極的に起用し、自社の目的に則ったAI開発を進められるよう、人材面での拡充を急ぎましょう。

自社にあった環境を構築できるクラウドサービスを探す

クラウドGPUにもいくつかのサービスが存在し、それぞれ強みとしている特徴や、料金プランなどは異なるものです。自社が求めているクラウドGPUの要件、そして予算などを勘案し比較検討した上で導入を進めましょう。

M:CPPのクラウドGPUが有する強み

MCPP

当社モルゲンロットが提供する「M:CPP」では、そんなクラウドGPUをお探しの方に最適なサービスを届けられるよう、他社にはない強みと共にクラウドGPUの提供を進めています。

大手クラウドサービスよりも優れたコストパフォーマンスを発揮できる

M:CPPはハイエンドのAMD社製GPUを提供しています。その運用コストは、大手クラウドサービスの半分程度に抑えることができるなど、コストパフォーマンスに優れるプランでのご提供が可能です。

これからクラウドGPUの導入を進めていきたい方はもちろん、すでにクラウドサービスを導入しており、そこからさらなるコストダウンを図りたいと考えている方にもおすすめしたいサービスです。テスト運用やサービス初期の運用の際に活躍できるのが強みです。

多様なフレームワークに対応している

クラウドGPU選びの際に気をつける必要があるのが、自社で運用する目的に合わせたフレームワークに対応しているかどうかです。

特に、機械学習ではCUDAやTensorflowなど、専用のフレームワークを導入しなければGPUを有効に活用することができませんが、M:CPPのクラウドGPUは多様なフレームワークに対応しています。機械学習に活躍するライブラリも含め、複数のフレームワークを運用できるため多用途に活躍できます。

専有サーバーで安定感のあるGPU運用が実現する

複数のユーザーが利用するクラウドGPUサーバーですが、複数のユーザーが同じサーバーを利用することでお互いに干渉し合う、ノイジーネイバーの問題が懸念されます。

M:CPPではこの問題を回避するため、ユーザーには個々に占有サーバーが提供されるので、別のユーザーの干渉を受けることはありません。クラウドでありながら安定性が高く、本格的なビジネス目的でも安心して運用ができます。

まとめ

GPUの需要増加に伴い、クラウドGPUの存在は多くの企業で注目を集めています。オンプレミス型に比べ、汎用性の高いパフォーマンスを発揮できるクラウドGPUは、個々の目的に合わせて最適なサービスを選ぶことも重要です。

M:CPPでは、コストとスペックの両立を実現したい方に最適なサービスを提供しています。クライアントに合わせてベストなカスタマイズを提案するため、エンジニアが運用のサポートをお届けします。お気軽にご相談ください。

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