【2022】機械学習のための環境構築方法は?必要な準備と手順

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機械学習の環境構築

機械学習はAI開発を進めるための重要なプロセスですが、近年はマシン性能の向上やツールの拡充が進んだことで、個人でも気軽に開発が進められるようになりました。今回は、機械学習を実施するために必要な環境構築について、その手順や効率化のための方法について解説します。

機械学習の環境構築に必要なもの

機械学習の際に必要なものは、主に次の3つが挙げられます。

PC

機械学習を実行する上で、PCは欠かすことができないものです。

近年はスマートフォンの登場により、インターネット利用やアプリ利用をスマホから行えるようになったことで、日常的にPCを使う機会がなくなったという方も少なくありませんが、機械学習を実施する上では依然としてPCが必要です。

スマホで機械学習は不可能というわけではありません。しかし、スマホはPCにくらべてマシンスペックが劣るだけでなく、スマホでは利用できないAI向けのツールも多く、不便を感じることが増えてしまいます。

PCであればラップトップ(ノートパソコン)でもデスクトップでも問題はなく、OSも特別の指定はありません。安いものでも問題はないため、まずは1台用意しておきましょう。

プログラミング言語

PCが用意できたら、次はプログラミング言語を扱える環境を整えます。プログラミング言語の種類は非常に豊富で、AI開発の現場でもさまざまな言語が採用されていますが、初心者におすすめなのがPython(パイソン)です。

Pythonは機械学習も行える高度な言語でありながら、学習が比較的平易であり、プログラミング初心者でも取得しやすいことが特徴です。

また、機械学習はもちろんのことディープラーニングのような先端AI研究の場でも採用されている言語であるため、将来性や実用性にも優れています。特別試してみたいプログラミング言語がない限りは、Pythonを使ったプログラミングが行えるようセッティングを進めましょう。

開発ツール

開発ツールは、機械学習を効率良く行うためのツールです。近年企業で広く採用されているのがGUIツールと呼ばれるもので、プログラミングを手動で行うよりもはるかに短期間で開発を進められることから普及が進んでいます。

GUIツールの特徴は、直接プログラミングを書くのではなく、あらかじめ用意されたテンプレートをドラッグ&ドロップでつなぎ合わせることで、プログラムを構築できる点です。プログラミングスキルがなくとも、パズルを解くような感覚でコマンドを配置し、入力ミスの心配なくAIを構築できるため、短期間でAIの運用を進められます。

環境構築の主なアプローチと手順

上記のような必要環境を整備する場合、主に次の3つアプローチで開発を進めることができます。それぞれの方法について解説します。

自前で全ての環境を整備する場合

最も手軽に環境を整備するための方法は、すべて自前のPCで環境を構築してしまう手法です。

PC本体はもちろん、その中にPythonの運用環境やGUIツールを導入することで、すぐに機械学習を進めることができます。

準備の方法は、実に簡単です。まずは以下のサイトよりPCのOSに合ったバージョンのPythonをインストールします。

Pythonインストール(公式サイト)

続いて、AIを開発するためのGUIツールをインストールします。代表的なサービスとしてはソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社が提供する「 」や、ギリア株式会社の「Deep Analyzer」サービスが挙げられます。

(公式サイト)

Deep Analyzer(公式サイト)

また、これらのGUIツールを使えばPythonを用意する必要もなくなるため、厳密にはプログラミング環境がなくとも機械学習を始めることができます。

ただ、プログラミングの知識があればより効率的にAI開発を行えるため、初めてのプログラミングという場合には、ある程度Pythonを運用できるよう準備しておくことをおすすめします。

自前ですべての環境を用意することのメリットは、迅速に環境整備ができるだけでなく、コストパフォーマンスに優れている点です。プログラミング言語はもちろん、便利なGUIツールも無料で利用可能であるため、まずは機械学習の仕組みを覚えたいという場合にはここからスタートすると良いでしょう。

一方の課題点としては、そのポテンシャルに限界がある点です。機械学習をビジネスや研究レベルで実施する場合、相応のマシン環境が求められます。一般的に市販されているPCで機械学習を行う場合は、シンプルなタスクでなければ満足のいく結果を得ることはできないため、自前でのAI開発はあくまでお試しレベルとなる点に注意しましょう。

部分的にクラウドを活用して環境を整備する場合

上記のような問題に対応すべく、企業で採用されているのがクラウド活用です。たとえば、クラウドを部分的に活用するという場合でも高い導入効果が期待できます。

クラウドサービスが充実している今日では、さまざまなタスクにクラウドサービスを適用できます。たとえば、機械学習の際に大きな負荷がかかるGPUをクラウド化するためのクラウドGPUの活用や、「Amazon Sagemaker」のようなクラウドのGUIツールを導入するといった方法です。

クラウドサービスの利用は非常に簡単で、各サービス上でアカウント登録などの手続きを行い、使用したいサービスやプランを選択すればすぐに運用を開始することができます。サービスの利用負担は小さく、自前でマシンを購入し直したり、GPUサーバーを導入したりするよりもはるかに安価に済ませられるため、初めての機械学習という方にもおすすめできる選択肢です。

もちろん、ビジネス向けのAI開発にも対応できるリソースを確保できるので、高度な開発環境を求める場合にも適用できます。

全面的にクラウドを活用して環境を整備する場合

手持ちのPCのマシンスペックに依存せず、AI開発において全面的にクラウドを採用するという方法も挙げられます。「Amazon EC2」や「

Microsoft Azure」などといったクラウドサービスを利用することで、クラウド上に自分だけの仮想マシンを構築し、OSインストールや開発環境の構築から進めることが可能です。

ただ、これらの方法は環境構築そのものに相応の技術力が必要となるため、あまり仮想マシンの運用に慣れていないという人にはおすすめできる方法ではありません。よほど開発環境にこだわりがない限りは部分的なクラウド運用が効率的かつ手軽に利用できるため、こちらをおすすめします。

機械学習の運用を効率良く進めるためのポイント

機械学習を効果的に運用する上では、次のポイントに注目しながら活用すると良いでしょう。

学習データの確保に時間をかける

まず、機械学習は開発環境が用意できてもデータがなければ成果を得ることができない分野です。そのため、まずはAIに読み込ませたい学習データの確保に力を入れ、精度に優れるAI開発を目指しましょう。

AIのクオリティはどれだけデータを読み込ませられるかに左右されるので、環境にこだわるよりもデータにこだわることが大切です。

プログラミングやデータサイエンスの知見を深める

GUIツールの活用により、プログラミングやデータサイエンスの知見がなくともAIは開発できますが、これらのスキルを有している方がAI開発をスムーズに進められます。AIの仕組みが理解できれば、高度なAIを開発するためのチューニングもスムーズに行えるためです。

そのため、本格的なAIの研究をスタートさせたい場合は、環境構築と合わせてプログラミングや統計学の勉強も始めることをおすすめします。

必要に応じてマシンの環境を見直す

AI開発に慣れてくると、より複雑なタスクをAIに任せたり、大量のデータを読み込ませて精度の向上を図ったりする必要も出てきます。そうなると、既存のスペックでは処理が追いつかなくなる可能性もあるため、その際はマシンの環境を見直すと良いでしょう。

不足するGPUリソースをクラウドサービスで補ったり、開発を仮想マシンに移行して行ったりといった施策を検討しましょう。

クラウドGPUのM:CPP導入が機械学習にもたらすメリット

MCPP

機械学習を進める際の課題となるのがGPUリソースの不足で、自前でGPUを確保するには多くの初期費用がかかります。そんなときに活用したいのが、当社モルゲンロットが提供するクラウドGPUサービスの「M:CPP」です。ユーザーにさまざまなメリットを提供します。

豊富なGPUリソースを活用できる

まず、M:CPPは必要に応じて豊富なGPUリソースを提供できるため、リソース不足となってしまう心配はありません。クラウド経由で柔軟に運用でき、GPUサーバーをわざわざ買い足す必要はありません。

オンライン環境で学習を進められる

M:CPPはクラウド経由でGPUリソースを提供するため、PCのスペックや運用する場所に依存しないことが強みです。GPUサーバーのあるオフィスに運用が限定されることはなく、自宅などからリモートで開発を進められます。

コストパフォーマンスに優れる

M:CPPは、大手クラウドサービスと比べても高いコストパフォーマンスを実現できるサービスです。他社サービスと比べ、最大で1/2というコスト削減効果も期待できます。クラウド導入によるコストパフォーマンスを最大化したい方におすすめです。

最適なプランをエンジニアに提案してもらえる

M:CPPの利用にあたっては、導入前にエンジニアからニーズに合わせて最適な契約プランの提案を受けられます。

そのため、利用者の方が見積もりを立てる必要はありません。導入前の負担軽減に努め、運用効果を最大限高められます。

まとめ

機械学習は個人レベルでも開発が可能な技術となりましたが、開発環境を全て自前で構築するのは将来性の面で問題もあり、部分的なクラウド活用がおすすめです。特に、導入費用が高額になるGPUをクラウドで補うのは、高いコストパフォーマンスと柔軟性を備えていることもあり積極的に採用したいところです。

手持ちのPCスペックや機械学習の目的を見直し、部分的なクラウド活用を積極的に検討しましょう。

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