
ディープラーニングは高度なAI活用を進める上で欠かせない技術であるため、各組織で積極的な運用が進んでいます。
ただ、ディープラーニングのポテンシャルを最大限に発揮するためには、優れたGPUサーバーを導入することで、高速演算を実現する必要もあります。今回は、そんなディープラーニングにおいて活躍が期待できるサーバーの選び方について、環境整備の方法にも触れながら解説します。
ディープラーニングに必要な環境
一口に「ディープラーニング」といっても、どのような目的で実行するのかによって、求められる環境は異なります。ここでは、個人開発の場合とビジネス・研究目的の場合に分けて解説します。
個人開発の場合
ディープラーニングを個人開発で実施する場合、大規模なデータ処理が発生しないため、家にPCさえあればいつでも実行ができます。パフォーマンスについてはもちろんPCのスペックによって左右されるものの、ここ1〜2年の間にPCを新調したという方であれば、問題なくディープラーニングを試すことができます。
まずは仕組みを理解するところから始めたい場合、手元のPCを使って手軽に始めてみましょう。学習に必要なデータセットも無料で公開されているデータを使って実行できるため、費用をかけずに体験が可能です。
ビジネス・研究目的の場合
ビジネスや研究目的でディープラーニングを運用する場合には、相応の環境を整備しなければなりません。
まず、通常のデスクトップPCのスペックでは膨大な計算処理を実行することができません。そのため、ハイエンドな GPUの導入や、サーバーの設置やレンタルでリソースの確保から進める必要があります。
また、ディープラーニングに活用するデータにも気を配る必要があり、膨大な量のデータをどこからか用意することも重要です。自社で莫大なデータ資産がある場合にはそれを活用できますが、データの蓄積がない場合は専門の企業からデータを買い取ったり、データ収集ができる仕組みを整備したりするところからスタートしなければなりません。
ディープラーニングにGPUサーバーが必要である理由
ディープラーニング運用の際、多くの組織ではGPUサーバーの導入を進めます。初めから所有しているPCのGPUでは不十分な理由としては、次の理由が挙げられます。
膨大な計算処理タスクが発生するため
機械学習とは異なり、ディープラーニングでは膨大なデータの処理が発生するため、一般的なGPUではとても処理が追いつかないという問題を抱えています。
GPUサーバーは巨大なGPUリソースの塊であるため、通常のGPUに比べて圧倒的なパフォーマンスを実現します。ビジネスでディープラーニングを活用するとなると、費用対効果を高めるため短期間で収益化できる仕組みを作る必要がありますが、パワフルなGPUサーバーがあれば実現可能です。
ディープラーニングやAIに特化したGPUを有効活用するため
GPUは元々グラフィックの処理に特化したユニットでしたが、最近ではディープラーニングをはじめとする人工知能開発などの需要も高まっていることから、AIに特化したGPUの開発も進んでいます。
これまでは、GPUをディープラーニングで活用するためには、開発者側で専用フレームワークのインストールなどを行う必要がありました。しかし、AI開発に特化したGPUであればすぐに学習を進められるなど、便利な機能を備えています。
高度な演算処理にも対応しているモデルが次々と登場しているため、こういった製品を搭載したサーバーを導入すればより効果的な開発を実現できます。
ディープラーニングに適したGPUサーバーの選び方
ディープラーニングは高度な演算処理が発生するタスクであるため、GPUサーバー導入の際にもその点を踏まえた選び方が求められます。
できる限りハイスペックなサーバーを選ぶ
ディープラーニングはとにかく負荷の多い処理が常に発生するため、できる限りスペックに優れるサーバーの導入が必要です。
GPUサーバーは決して安い買い物ではないため、予算の範囲内では導入が困難なこともありますが、サーバー選びにおいて最も重要なのはどれだけ処理能力に優れているかです。特にビジネスや研究目的でGPUサーバーを導入する場合は、スペックを優先した選定を進めましょう。
コストパフォーマンスに優れるサーバーを選ぶ
スペックの後に注意すべきポイントとしては、コストパフォーマンスです。GPUサーバーは本体の購入費用だけでなく、維持管理費用も長期的なコストとして発生するため、この負担を軽減するためには短期間で成果を上げることが重要です。安いGPUサーバーは性能が低いため、初期投資は小さくとも成果が出るまでに時間がかかり、維持管理の負担が大きくなる場合があります。
一方で、高級なGPUサーバーは初期投資が大きくなり、成果も短期間で得られるもののパワーを持て余してしまい、GPUサーバーの費用を回収できる企画を実行できる経験や技術がなければ宝の持ち腐れとなります。この性能ならどれくらいで実用レベルのAIを開発できるのかという運用計画のレベルでコストを計算し、最適なコストパフォーマンスを発揮できる製品をピックアップしましょう。
サイズや消費電力に気を配る
GPUサーバーのコストを考える場合、その大きさや消費電力にも目を向けてみましょう。
サイズが大きいサーバーは管理するためのスペースを多く必要とするため、スペース負担が大きくなります。あるいは、消費電力や発熱が大きなサーバーの場合、それを冷却するための空調費用も相まって電気代が主にとなります。こういった維持管理負担も踏まえた上で、自社に適切なサーバーを選ぶことが大切です。
GPUサーバーを活用するための環境整備の方法
GPUサーバーを活用するための方法は、主に次の3つの方法が挙げられます。状況に応じて最善の方法を選べるよう確認しておきましょう。
自社にサーバールームを設置する
一般的な方法の一つは、自社でサーバールームを設置して、GPUサーバーの運用を進めるものです。現在も大規模なサーバーの運用が必要な大企業では自社でサーバールームを設置する方法が選ばれる傾向にありますが、この方法の場合は大規模であるほど費用対効果が高く、カスタマイズや維持管理の柔軟性も高い点が評価されています。
一方、中小企業レベルでサーバールームを設置するとなると、導入の際に多額の初期費用がかかるだけでなく、ビジネスモデルによっては投資した分の効果を期待できない可能性もあり、リスキーな判断となります。すでにサーバールームや運用サーバーがある場合にのみ、サーバールームの設置は検討すべきでしょう。
データセンターを使用する
サーバー運用の負担を減らす取り組みとしては、データセンターを利用する方法が挙げられます。データセンターはサーバーの維持管理と運用に特化した施設で、自社サーバーを各地のデータセンターに設置することにより、維持管理負担を軽減できます。
データセンターは耐震性や防火対策に優れ、強固なセキュリティ環境も整備されているので、自社にサーバーを設置するよりも安心の運用環境を実現できます。とはいえ、基本的にはサーバー本体は自前で用意することが一般的であるため、GPUサーバーの購入費用は発生します。
クラウド経由でGPUサーバーを利用する
サーバールームもGPUサーバーもお金をかけたくないという場合には、クラウド経由でGPUを利用する方法があります。GPUリソースを提供している事業者とライセンス契約を結び、必要な分だけオンライン経由でGPUリソースを利用するというものです。コストパフォーマンスや導入ハードルの低さから、近年は多くの企業で採用されている手法です。
GPUクラウドがディープラーニングの利用に適している理由
GPUクラウドは、自前でGPUサーバーを利用するよりも優れたメリットを複数有しているため、積極的に導入を検討したいサービスです。ここでは、GPUクラウドのメリットについて解説します。
コストパフォーマンスに優れるため
GPUクラウドは、コストパフォーマンスに優れています。GPUサーバーを購入するのではなく、あくまで事業者から借りるだけというのがこのサービスの特徴で、従量課金制で必要な分だけ利用できます。
サーバー購入のために初期投資をする必要がなく、まとまったお金が用意できない場合でも運用でき、個人での利用にも適しています。
省スペースやリモートワークを推進できるため
GPUクラウドは、オンラインでサーバーを利用するサービスであるため、オフィスにサーバーを設置したり、わざわざサーバールームを新設したりする必要がありません。従来のGPUサーバーでは負担となっていた光熱費やスペースの圧迫から解放されるため、スマートな組織作りにも役立ちます。
また、GPUリソースは契約者であればオンライン経由でどこからでも利用できるので、オフィスワークに縛られる心配もありません。自宅からリモートでサーバーを運用し業務を遂行するような働き方も実現できます。
豊富なリソースを好きなだけ利用できるため
オンプレミスでGPUサーバーを利用する場合、リソースが足りなくなったときには買い替えや増設が必要になり、その度に設備費用がかさむこととなります。GPUクラウドならリソースは柔軟に増減が可能で、必要なときには多めに確保し、扶養の際にはリソースを減らして省エネで運用するといったこともできます。
必要の際にはオンラインで手続きを進めればすぐにリソースを確保できるため、現場の柔軟性を強化する上でも活躍します。
GPUクラウドならM:CPPがおすすめである理由
GPUクラウドを提供しているサービス事業者は複数ありますが、当社モルゲンロットが提供する「M:CPP」では他のサービスにはない独自の強みをクライアントに提供し、差別化を進めています。
大手クラウドよりもコストパフォーマンスが高いから
M:CPPでは、大手クラウドサービスよりも高いコストパフォーマンスでGPUを利用してもらえるプランを用意しています。大手クラウドサービスに比べ、最大で1/2にまでコスト削減効果が改善するという優れた費用対効果で、お客様の長期的なGPU運用をサポートしています。
これまでGPUクラウドを利用してきたものの、コスト面での恩恵が得られなかったとお悩みの際には、ぜひ一度M:CPPへの切り替えをご検討ください。もちろん、初めてのクラウドGPUという方でも安心して利用いただけるよう、社内エンジニアがお客様に合わせた最適なプランをご提案できるので、サーバープランを検討する手間もかかりません。
専有サーバーで干渉を受けずに利用できるから
M:CPPでは、常にGPUリソースを高いパフォーマンスで利用できるよう、お客様ごとに専有のサーバーを提供しています。
クラウドGPUサービスの中には、一台のサーバーを複数の利用者で共有する形で提供しているものもありますが、この場合はお互いにサーバーを干渉し合い、パフォーマンスが低下してしまう「ノイジーネイバー」という現象が発生するリスクも抱えています。
M:CPPのクラウドGPUはこういった負担が発生しないよう、専有サーバーの提供に特化することで、サーバー利用のパフォーマンスを高め、不要なリソースの増設などを控えられる仕組みになっています。
まとめ
GPUサーバーは高額な製品ですが、ディープラーニングの本格的な運用を検討する場合、必ず導入が必要です。近年はサービスが多様化したことで、自前でのサーバー導入だけでなく、データセンターの利用やクラウドGPUの利用など、自社の条件に適した方法でGPUを利用できるようになってきました。
中でも、クラウドGPUはその費用対効果の高さから多くの企業が導入を進めており、当社モルゲンロットが提供する「M:CPP」もその効果をさらに高められるようなサービスの提供に努めています。ディープラーニング運用を検討している方や、GPUリソースの大量確保が必要の際には、お気軽にご相談ください。