
サーバー運用について調べていると、最近では「ベアメタル」ということばをよく見かけるようになったのではないでしょうか?従来のレンタルサーバーとは異なり、ベアメタルサーバーはそのポテンシャルの高さから近年ユーザーが増加傾向にあります。
今回は、そんなベアメタルサーバーの特徴や、ベアメタルクラウドとの違いについて紹介します。
ベアメタルとは
ベアメタルには、IT分野において主に2つの意味があります。
一つ目は、サーバーの仮想化技術を指します。コンピューターを仮想化するためのソフトであるハイパーバイザーを使用せず、仮想マシンを作成できる仕組みを持ちます。
もう一つは、サーバーそのものを指します。元々、ベアメタル(bare metal)は「むき出しの金属」を意味する英単語ですが、この場合は「まっさらなサーバー」を意味します。
これら2つの意味は混同して使われることもあるため、異なる使われ方が存在することを理解しておきましょう。今回は、2番目の使い方であるベアメタルサーバーの意味について深掘りしていきます。
ベアメタルサーバーの特徴
ベアメタルサーバーのいう「まっさらなサーバー」というのは、通常のサーバーとは異なり、OSやソフトがインストールされていない状態のサーバーを指します。
OSやソフトを搭載しないサーバー
通常のサーバーは、OSやソフトウェアをあらかじめインストールした状態で提供されることが一般的です。そのため、ユーザーが実際に利用できるのは、これらの容量を差し引いたリソースとなります。
一方のベアメタルサーバーは、前述の通り何もインストールされていないまっさらな状態で利用ができます。そのため、必要最低限の管理機能のみを使って豊富なリソースを存分に扱えるため、人工知能やビッグデータ活用など、膨大な量のデータを扱う際に活躍してくれます。
ハイパーバイザーを導入可能
先ほど紹介したように、サーバーの仮想化の一環として「ベアメタル」ということばが使われることもありますが、ベアメタルサーバーの仮想化ももちろん行えます。
空っぽのサーバーの中に仮想化ソフトであるハイパーバイザーを導入することで、複数のOSをベアメタルサーバー上に起動させられます。パワフルな余剰リソースを備えているので、仮想マシン運用にもベアメタルサーバーは活躍します。
ベアメタルクラウドの特徴
ベアメタルサーバーとは別個に、「ベアメタルクラウド」と呼ばれる技術もあります。ここでは、ベアメタルサーバーとの違いを確認しておきましょう。
クラウド経由で「ベアメタルサーバー」を提供
ベアメタルクラウドは、ベアメタルサーバーをクラウド環境で利用できるサービス全般を指します。
通常、ベアメタルサーバーの利用には物理サーバー本体を用意しなければなりませんが、近年はクラウド環境が整備され、誰でも気軽にクラウド経由でベアメタルサーバーを利用できるようになりました。通常の仮想サーバーとは異なり、ベアメタルサーバーはユーザー一人につき一つの物理サーバーが割り当てられます。
詳しい違いについては後述しますが、近年のクラウドサーバー利用はベアメタルクラウドと仮想サーバーの二極化が進んでいます。
「ベアメタル」はクラウド利用が一般的
ベアメタルサーバーを利用したい場合には、クラウドでの利用が一般的です。
どちらも物理サーバーをベンダーからユーザーに提供するサービスであることに違いはありませんが、ユーザーにとっては利便性が高く、ベンダーにとっては提供がしやすいことから、ベアメタルクラウドの普及が進んでいます。
物理サーバーならではの処理速度と、クラウドらしい利便性の高さを両立しているということで、ベアメタルクラウドは人気のサービスです。
べアメタルクラウドと仮想サーバーの違い
ベアメタルクラウドの導入を検討する際、比較対象となるのが仮想サーバーです。具体的に、両者にはどのような違いがあるのかについても理解しておきましょう。
処理能力
仮想サーバーとベアメタルクラウドを比較したとき、まず大きな違いとして現れるのが処理能力です。仮想マシンを用いた仮想サーバーとは異なり、ベアメタルクラウドは実際の物理サーバーをクラウド経由で利用できるサービスなので、たとえ料金は同じでもパフォーマンスについては後者の方がパワフルな処理能力を発揮します。
仮想サーバーよりもベアメタルクラウドを重用するケースは増えており、以前は構築に数週間を要していたデータベースサーバーも、ベアメタル導入後は4時間で完了できるという事例も登場しています。
パワーが仮想サーバーより優れているということは、それだけ少ないコストでの運用も可能ということです。ベアメタルクラウドの導入によって、コストパフォーマンスの改善にも期待ができます。
リソース活用
ベアメタルクラウドは、リソース活用の汎用性の面でも仮想サーバーよりも有利な条件を提供します。クラウド経由の利用とはいえ、ユーザーが実際に扱えるサーバーは専用のサーバーなので、膨大なリソースへ高速にアクセスし、好きなように利用ができます。
また、ベアメタルクラウドはアプリケーションパフォーマンスの予測可能性にも優れ、サーバー内のアプリが適切に分離されているので、セキュリティの確保にも優れます。
また、アプリが別個に分離されることで、アプリ同士が干渉しあってパフォーマンスの低下をもたらす「うるさい隣人問題(Noisy Neighbor)」の解消をもたらしてくれます。
仮想サーバー環境ではこの問題に悩まされるユーザーも多く、ベアメタルクラウドの導入がこの問題の解決方法としても注目されています。
普及の度合い
総合的なパフォーマンスとしてはベアメタルサーバーの方が優位であるといえますが、導入の上で課題となるのが普及率です。
仮想サーバーはベアメタルクラウドに先行して登場した技術であり、クラウド経由で利用するサーバーは依然として仮想サーバーがポピュラーです。そのため、エンジニアやベンダーの間でも仮想サーバーにのみ対応しているケースが一般的で、ベアメタルに対応している例は限られています。
仮にベアメタルを導入しても、それを運用できる人材や、環境を整えるコストも発生します。仮想環境からベアメタルへ移行する場合、現場への負担が大きくなることも頭に入れておきましょう。
ベアメタルサーバーとベアメタルクラウドを比較
最後に、ベアメタルサーバーを直接利用する場合と、ベアメタルクラウドで間接的に利用する場合の違いについて確認しておきましょう。
導入までのスピード
実際にイチから運用手続きを進めていく場合、そのスピードに軍配が上がるのがベアメタルクラウドです。
通常のベアメタルサーバー利用においては、申し込み手続きの完了後、ベンダーがセットアップを行わなければなりません。そのため、申し込んで即日の利用というのは難しく、大抵の場合数日のタイムラグが発生します。
一方、ベアメタルクラウドの場合はベアメタル以外のクラウドサーバー同様、申し込みから即日で利用が可能です。ユーザー登録やライセンスの手続きを終えた後、すぐに自分専用のベアメタルサーバーをあてがってもらえるため、スピーディーな運用を実現可能です。
運用方法
ベアメタルサーバーとベアメタルクラウドでは、サーバーの運用方法に微妙な違いがあります。
まずベアメタルサーバーですが、こちらはOSもソフトも何もインストールされていない状態であるため、自ら運用環境を構築し、導入を進めなければなりません。サーバーをコントロールするための機能が備わっていないので、必要な機能要件によってはベンダーに機能を搭載してもらう必要があり、そのための費用や構築期間が発生する可能性もあります。
一方のベアメタルクラウドは、OSやソフトは搭載されていないものの、サーバーの管理を行うためのコントロールパネルが搭載されています。電源のオン・オフ動作はもちろん、バックアップの設定など、サーバー管理に最低限必要な捜査環境は一から整っているため、利便性の高さが魅力です。
料金システム
料金体系についても、ベアメタルサーバーとベアメタルクラウドでは違いが見られます。
まずベアメタルサーバーですが、こちらは初期費用が発生し、1ヶ月や1年単位での契約を求められます。
一方のベアメタルクラウドの場合、初期費用が発生しないプランが一般的で、日時単位での契約も可能という柔軟性があります。
そのため、気軽に運用しやすいのはベアメタルクラウドというわけです。
利用シーン
利用シーンについては、ベアメタルサーバーとベアメタルクラウドで大差はありません。そもそも、ベアメタルクラウドは、ベアメタルサーバーをクラウドで利用できるように設計されたサービスなので、基本的なポテンシャルはベアメタルサーバーのそれに劣ることもないためです。
膨大なアクセスが発生するサイトの運営やディープラーニングの実行、業務用アプリの運営など、多彩な活躍を期待できます。
まとめ
ベアメタルサーバーは空っぽのサーバーである分、豊富なリソースを活用したパワフルな働きを期待できます。
そんなベアメタルサーバーの強みをクラウドで活用できるのが、ベアメタルクラウドです。仮想サーバー並みの使いやすさと、物理サーバーのパワフルさを兼ね備えており、今後普及が期待されるハイテクの一種です。
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