【2021】ディープラーニングの仕組みとは?アルゴリズム(学習方法)と活用事例

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ディープラーニングは、近年の人工知能開発において欠かせない技術となっています。従来の機械学習に比べて、ディープラーニングは高い学習効果を発揮するためです。

では、ディープラーニングによって高い学習効果が生まれているのには、どういった理由があるからなのでしょうか?今回は、ディープラーニングの仕組みについて解説し、どのような可能性を秘めているかについてわかりやすく紹介します。

ディープラーニングと機械学習の違い

ディープラーニングと機械学習の違い

そもそも、ディープラーニングと従来の機械学習にはどのような違いがあるのでしょうか?明確な相違点としては、次の2つのポイントがキーになっていると言えます。

機械学習:指示が必要、ディープラーニング:必要なし

厳密に言うと、ディープラーニングと機械学習は同一の技術です。ディープラーニングは新しい形の機械学習であり、機械学習における小カテゴリとして扱われています。

機械学習の仕組みは、人間がプログラムに対してデータをインプットさせ、そこから得た学習データを目的のタスクに合わせて自律的に解をアウトプットするというものです。ディープラーニングにおいても、この基本的なプロセスに違いはありません。

しかし、ディープラーニングが優れているのは、指示を送らなくとも自動的に学習を進められるという点にあります。

通常の機械学習の場合、学習のプロセスは人間がある程度してやる必要があります。いわゆる「教師あり学習」と呼ばれるアプローチですが、人間がデータの正誤をあらかじめタグづけすることで、円滑な学習を促します。

一方、ディープラーニングにおいてはこのタグづけの作業が必要ありません。これが「教師なし学習」と呼ばれるもので、人工知能は自らデータ間の差を見出し、正確な判断能力を身につけられるのです。

人智を超えるアルゴリズム発見の可能性がある

人間が指示を送らなくても人工知能が機能できるということは、人間がアルゴリズムを用意する必要がないということです。つまり、AIに必要なタスクさえ教えてしまえば、あとはデータを与えるだけで自動的に学習を進め、目的にかなうプログラムとして役立ってくれます。

この際、AIは最終的に人間並みの能力を身につけられることはもちろん、時として人間以上のパフォーマンスを発揮することもあります。ディープラーニングの場合、人間以上の精度を発揮できるだけでなく、人間には思いつかないアルゴリズムによって、答えを導くこともできます。

どれだけ優れた力を発揮しても、ディープラーニングによって高い能力を得た人工知能のアルゴリズムは、人間が把握することはできません。そこには常に結果だけが現れるため、そのプロセスについてのログは残されないためです。

これを人工知能による「ブラックボックス化」と呼び、AIの偉大さが垣間見える瞬間でもあります。

ディープラーニングの仕組み

ディープラーニングの仕組み

このように、ディープラーニングを用いた人工知能は、時として人間の想像を遥かに超えるパフォーマンスを発揮します。ディープラーニングはどのような仕組みで動いているのか、その秘密を探ってみましょう。

特徴量を独自に抽出する

そもそも、ディープラーニングが行なっている基本的なタスクは、特徴量の抽出という作業です。例えば、私たちがリンゴとぶどうに区別を設ける際、さまざまな特徴に基づいていることがわかります。

視覚だけを取っても、りんごは赤く、ブドウは青いという違いがあり、りんごは単体であるのに対し、ブドウは一房で存在することが一般的であるなど、いくつもの相違点に気づけます。人間は物事の違いを、このように言語化することで証明しようとしますが、AIの場合はデータに変換し、数値化することで答えにたどり着きます。

物事の特徴を数値化したものを「特徴量」と呼び、これをどれだけ発見できるかが、AIの良し悪しを決定づけるとも言えるでしょう。ディープラーニングは、この特徴量の抽出に秀でた仕組みを有しており、それゆえ高いパフォーマンスを発揮しているというわけです。

ニューラルネットワークを活用している

ディープラーニングは、日本語に訳して「深層学習」と紹介されることもあります。これは、ディープラーニングが対象物を階層構造の中に組み込むことで、深い層までデータを噛み砕き、高い学習効果を得ることから名付けられた名前です。

階層構造を活用するアプローチにはいくつかの方法がありますが、現代のディープラーニングにおいて最も頻繁に利用されるのが「ニューラルネットワーク」です。ニューラルネットワークは人間の脳神経細胞(ニューロン)から着想を得て形成された仕組みで、自発的な特徴量の発見に大きく貢献しています。

2010年代以降、ニューラルネットワークの実用化が本格的に進んだことで、ディープラーニングの技術は急速に普及し、さまざまな分野において活用されることとなりました。ニューラルネットワークの実用化こそ、ディープラーニングの実用化に直結しているといっても過言ではないでしょう。

ニューラルネットワークの仕組み

ニューラルネットワークの仕組み

ここで、ニューラルネットワークの仕組みについてもしっかりとお伝えしておきます。ニューラルネットワークの仕組みを理解することで、よりディープラーニングや人工知能技術の可能性について理解を深めることができます。

ニューラルネットワークの基本構造

ニューラルネットワークは、「出力層」「入力層」、そしてその間にある「隠れ層」という3つの層によって成立しています。これらの層はお互いにつながりあっており、接合部分の強度の強弱によって、適切な情報伝達を可能にしています。

正解となるデータに最も近くなるよう計算を重ね、調節できるのがニューラルネットワーク、ひいてはディープラーニングの柔軟な計算能力の仕組みです。

現代のニューラルネットワークの仕組み

ニューラルネットワークの歴史は古く、その先祖とも言える技術は1950年代にまで遡ります。現在のニューラルネットワークの理論が確立されたのも1990年代のことですが、コンピューターの性能が理論に追いついていなかったこと、そしてネットワークが単層であったことから、汎用性に優れないということで注目度は低かったのです。

しかし、2000年代後半、ニューラルネットワークの研究が進み、ネットワークの多層化に成功したことで、実用化への道は大きく進展しました。いわゆる「多層ニューラルネットワーク」と呼ばれる手法を確立した結果、高いレベルの認識がAIによって可能となったのです。

今日採用されているニューラルネットワークもまた、多層ニューラルネットワークの技術が基礎となっています。

ディープラーニングのアルゴリズム(学習方法)

ディープラーニングのアルゴリズム(学習方法)

ニューラルネットワークを採用したディープラーニングは、現在さまざまな用途に活躍しています。そして、用途に応じてその学習方法も多様化が進み、さまざまな手法が確立されています。ここでは、ディープラーニングの代表的なアルゴリズムを紹介します。

CNN(畳み込みニューラルネットワーク)

CNN(Convolutional Neural Networkは、ディープラーニング活用の代表的なアルゴリズムの一つです。「畳み込み」と呼ばれる演算を行うことからこの名前が付けられており、主に画像認識の分野で活躍しています。

CNNに画像を読み込ませると、まず小さなピースに分解して特徴を把握します。正解の画像と読み込まれた画像を比較し、データの位置情報にどのような違いが、あるいは共通点があるのかを把握して、アウトプットを導き出します。

CNNがユニークなのは、画像そのものの同一性を推し量るのではなく、どれだけ共通する特徴を有しているのかを確認する点です。従来のプログラムや人工知能であれば、1ピクセルの狂いも許されない、確かな画像の整合性のみを基準としてしか扱うことはできませんでした。

これはこれで使いどころはあるものの、汎用性の側面から見れば、非常に使いづらい融通の効かなさでもあります。Aの写真とBの写真で同一の人物が写っていても、まったく同じ写真でなければそれらを同一視することはできなかったためです。

しかし、CNNは与えられたデータの中における特徴を自発的に見出し、特徴のみを比較して整合性を鑑みることができます。その結果、AとBの写真が異なるデータでも、同じ人物が写っていれば同一と認めることが可能になりました。人間のような画像の判断能力を身につけるきっかけを与えたのが、CNNというわけです。

RNN(再帰型ニューラルネットワーク)

RNN(Recurrent Neural Network)は、主に時系列データを扱う際に採用されるニューラルネットワークの一種です。時間の変化とともに異なる値を出力するデータの登場機会は多く、1日あたりの店舗訪問者数、ウェブサイトへの訪問者数、毎日の気温の変化など、あらゆる場面に登場します。

これらの数値をAIで解析したいという際に活躍するのが、RNNです。RNNは、これらのデータの変化から一定のパターンを導き出し、データに基づく未来予測を促してくれる役割を果たします。いわゆる売り上げ予測や株価の変動を予測する人工知能は、RNNを活用したディープラーニングによって実現していることがほとんどです。

また、直接数字の変化が現れない分野においても、RNNは使用されています。例えば、音声認識や自然言語翻訳は、RNNが活躍している最前線の現場の一つです。言語も音声も、前後のつながりからパターン化することができるデータの一つと言えます。

RNNを活用することで、人間の会話のパターンや話し方の癖を理解し、流暢な翻訳文章を生成したり、正確な音声認識による文字起こしを実現したりします。CNN同様、活躍の機会が幅広いニューラルネットワークです。

GAN(敵対的生成ネットワーク)

GAN(Generative Adversarial Network)は過激そうな名前とは裏腹に、とてもユニークな仕組みを有するアルゴリズムです。

通常、ニューラルネットワークは1つのAIにつき1つのネットワークであることが一般的です。しかし、GANの場合、ニューラルネットワークを2つ活用することで、高い精度のアウトプットを生成するという仕組みを有しています。

GANが有しているのは、「生成ネットワーク(Generator)」と「識別ネットワーク(Discriminator)」という2つのネットワークです。

前者の「生成ネットワーク」は、与えられたデータに基づき、正解に近いと思われるデータをひたすらに生成します。一方の「識別ネットワーク」ですが、こちらは答えとなるデータと生成ネットワークから送られてくる偽のデータを比較し、それが正しいデータか否かを判断します。

生成ネットワークは、識別ネットワークを騙そうとひたすらに精巧なデータを作り、識別ネットワークは生成ネットワークに騙されないよう、その審美眼を鍛えます。このようなイタチごっこをエンドレスに続けることで、本物と違わぬデータを仮想的に作り上げてしまうのが、GANという仕組みです。

非常に高い精度でデータを生成できるGANは、画像の生成や修正といった作業に特化しています。書きかけのボールペン絵を読み込ませれば、その絵を完成させてくれるだけでなく、フルカラーに着色して出力できます。あるいはモノクロ写真に着色したり、不鮮明な写真の解像度を高めたりとクリエイティブな現場で活躍するのが特徴です。

ディープラーニングで可能なこと

ディープラーニングで可能なこと

このように、ディープラーニングはその役割に合わせて異なるネットワークの活用方法を駆使し、高いレベルでタスクをこなすことができます。すでに実現している技術としては、次のようなタスクが挙げられます。

レコメンデーション

ショッピングサイトなどを閲覧していると、おすすめの商品が画面に表示されることがあります。これらは、その季節のおすすめなどが表示されることも多いのですが、ディープラーニングを使えばより正確なレコメンデーションを送信し、販売促進を促すことが可能です。

オンラインショップにおける訪問者の動向は、ある程度追跡ができます。そのユーザーがどの商品をクリックし、どんなサイズの服を探しているのかなど、いくつかの要素を抽出してその人の趣味嗜好を探ります。

AIにこの要素を読み込ませることで、その人が求めている服の動向を分析できます。その結果、関連商品の欄やポップアップで、その人が気にいるであろう商品を的確に言い当てられるというわけです。

実店舗の場合、店舗スタッフがその人から話を聞くことで、好みに合った商品を手動でレコメンドができます。一方、オンラインの場合はこのような接客対応が難しく、顧客の行動に委ねられていましたが、AIの登場によってその流れも変わりつつあります。

将来的にはあらゆるオンラインショップにAIレコメンデーション機能が追加され、実店舗と変わらない接客体験が得られるようになるでしょう。

画像認識

画像認識技術はディープラーニングの登場によって、急速に精度が向上した技術の一つです。前述のCNNが確立されたことで、AIでも人間のように画像の特徴をつかみ、高い精度で見分けられるようになりました。そのため、人間以上のパフォーマンスを発揮する機会も増えています。

例えば、税関における本人確認や、スマートフォンのロック解除機能、あるいは工場の生産ラインにおける検品作業など、これまでは人間の目でなければ確かめられなかったことが、すべてAIへと置き換わりつつあります。

音声認識

音声認識AIも、今やすっかりポピュラーな技術として定着しているのではないでしょうか?AppleのSiriやGoogleアシスタント、AmazonのAlexaなど、CMなどでも見かける機会は増えています。

音声認識の活用現場は幅広く、その役割を挙げてみると非常に豊富です。会話内容の録音、文字起こしといった作業から、音声によるGoogle検索、スマートスピーカーを通じたスマート家電の操作など、無数の業務を遂行できます。

今後10年ほどでこの技術の精度はさらに向上し、複雑な業務の実現や生活への定着が期待できます。

自然言語処理

音声認識と合わせて日常的に利用されているのが、ディープラーニングを用いた自然言語処理です。従来の言語処理というのは単語レベルの機械翻訳などに留まっており、単語としての翻訳はできても、自然な文章の翻訳は不可能でした。

しかし、ディープラーニングによって言語のパターンを解析できるようになったことで、自然言語の理解能力は飛躍的に向上しています。

今では複雑な文章も数秒で外国語に翻訳することもでき、同時通訳も可能なレベルにまで到達しています。AIがあれば、翻訳者は必要がなくなるというシーンも出てくるかもしれません。

ディープラーニングの実用事例

ディープラーニングの実用事例

ディープラーニングは、すでに多くの技術を実現している技術ということもあり、ビジネスの面でも目指しい活躍を遂げています。ここでは、その一例を紹介し、ディープラーニングの可能性に触れてみましょう。

実例①:数枚の写真で採寸が可能な「Bodygram」

人の体の採寸はデジタル化が難しい分野の計測の一つですが、Bodygramを使えば簡単に行うことができます。

このシステムを活用すれば、わずか2枚の写真を読み込ませるだけで人間の体のあらゆる部分を測定し、数値化することが可能です。巻尺などを用意せずとも、全身写真を撮影するだけで採寸が完了するため、多くの企業から問い合わせが殺到しています。

元々はアメリカのベンチャー企業が開発した技術ですが、日本法人を2020年に設立したことで、国内企業からの注目度も上々です。花王やファーストリテイリング、エアウィーブなど、ファッションやヘルスケアまで幅広い分野での活躍が期待されています。

実例②:手書きスケッチを元にリアルな人間の顔を生成「Deep Plastic Surgery」

Deep Plastic Surgeryは、人が適当に書いた架空の人間の顔のスケッチを読み込ませることで、そこからリアルな3DCGの人間の顔を生成できるシステムです。

手書きのラフスケッチを清書するプロセスに近いフレームワークを採用したことで、非常にリアルで、それでいてスケッチの特徴を上手く掴んだ人間の顔を生成することが実現しました。映画やゲームのキャラクターは、今後3Dアーティストの手を借りなくとも自由に生成できるようになるかもしれません。

実例③:注意喚起を投稿内容から自動で送信「Yahoo!ニュース」

Yahoo!が運営するニュース配信サイトの「Yahoo!ニュース」は自由にコメントを投稿できるということで人気を博しているサービスです。自由なコメントは議論を活発にしてくれる一方、誹謗中傷の温床となるケースもあります。

Yahoo!はこの問題に対処するため、ディープラーニングを活用した注意喚起システムを搭載し、不適切なコメントの投稿を減らすことに成功しました。ディープラーニングによる自然言語処理能力を活用して、誹謗中傷をはじめとした不適切な投稿を1日平均約2万件削除、その上投稿コメントのAI判定モデルを実装し、無人でも秩序あるコメント欄の形成を促せるようになったのです。

参考:Engadget「Yahoo!ニュース、不適切なコメントが減る。AIを活用した注意喚起で」

まとめ

ディープラーニングの進化は目が離せないものがあり、技術の活用方法が確立されたことで、よりその運用機会は多くの組織や個人へもたらされるようになってきました。

しかし、ディープラーニングの運用においては相応のマシンパワーも求められます。生半可なコンピューターでは効果的なAIの活用は見込めませんが、かといって新しいマシンの導入には費用がかかります。

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