【2022】ディープラーニングにおすすめのPCは?必要スペックや環境を解説

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2000年代に提唱され、実用化は2010年代以降となったディープラーニングは、高度なマシンスペックを必要とする技術としても有名です。ですが、近年は急激なハードウェア性能の改善により、一般的な家庭用PCでもディープラーニングを実践することは可能になりました。

今回は、ディープラーニングをPCで実現したい場合には、どれくらいのPCスペックを必要とするのか、どんなPC選びが必要なのかについて、具体的なおすすめのモデルや自作PCの可能性とともに解説します。

ディープラーニングとは

ディープラーニングは、日本語では「深層学習」とも呼ばれる新しいタイプの機械学習手法です。

従来の機械学習の場合、AI開発者がデータとともにタスクに応じた答えやヒントを読み込ませながら開発する必要がありましたが、この方法は精度と学習スピードに優れる反面、あくまで既存の業務を自動化する程度の効果しか得られず、AIのポテンシャルを十分に引き出すことができませんでした。

一方で、ディープラーニングの場合、データの読み込みにあたっては人間が答えやヒントをAIに提示する必要はありません。ディープラーニングを採用したAIは、あらかじめ与えれられたタスクに基づき、データから直接答えを得るためのヒントを抽出し、自発的に高度な意思決定が行えるようになっています。膨大なデータとマシンスペックを必要とするものの、読み込みの精度は非常に高く、人間では気づけないような差分もデータから導き、人間以上のパフォーマンスを発揮することもあります。

このような成果をもたらしているのが、「ニューラルネットワーク」と呼ばれるアルゴリズムです。多層化されたネットワーク内でデータを何度も行き来させることにより、AIがデータから特徴を抽出しています。人間の神経細胞から着想を得たニューラルネットワークが実装されて初めて、ディープラーニングは機能します。

ディープラーニング用PCと一般のPCの違い

ディープラーニングはニューラルネットワークと呼ばれる複雑な構成を採用しているため、従来の機械学習手法と比べて多くのマシンスペックを稼働には必要とします。また、読み込むデータも通常の機械学習よりも膨大となるため、学習を円滑に進めるためには、それなりのハードウェア性能が求められます。

ここでは、ディープラーニング用のPCと一般のPCでどのような違いがあるのか簡潔に解説します。

スペック

ディープラーニング用PCと一般向けのPCで大きく異なるのは、スペック全般です。具体的なスペックの内容については後で解説しますが、ディープラーニングを想定したPCを導入したい場合、事務作業に特化したラップトップなどではパフォーマンスが圧倒的に下がってしまうため、おすすめはできません。

結論をお伝えすると、近年はソフト面の進化もあり、どんなPCでもディープラーニングを実行することはできます。ただ、十分なスペックが確保できなければ満足のいく成果を得ることはできないため、満足のいくスペックを持ったマシンがない場合は、新たに導入を検討するのが良いでしょう。

価格

ディープラーニングのような負荷の大きい業務にも耐え得るPCとなると、導入コストもそれなりに大きくなると考えておきましょう。一般的なPCであれば、安いものだと5万円前後で購入できるものもありますが、このようなマシンでは十分な成果は期待できません。

どの程度のディープラーニング運用を考えているかによって、検討すべき予算も変わってきますが、個人の研究や仕組みを理解するためのディープラーニング用PCであれば、20~30万円程度の予算を予め想定しておくと良いでしょう。また、本格的なビジネス向けのディープラーニング運用を考えている場合はより多くのコストがかかり、100万円台のPCや、数千万円にものぼるGPUサーバーの導入も視野に入ってきます。

あらかじめディープラーニングの運用規模を検討しておき、それに合わせた予算の策定が大切です。

ディープラーニング向けPCに必要なスペック

ディープラーニングはその運用目的にもよりますが、先ほど紹介したように、一般的なPCよりもパワフルなスペックが必要となります。ここではPCの主要素に目を向け、それぞれの要素でどれくらいの、あるいはどういった基準でスペック要件を満たすべきかについて解説します。

OS

OSはOperating Systemの略称で、コンピューターを動かすための基本的なミドルウェアです。主なOSとしては、WindowsやMac OS、そしてLinuxが挙げられます。

ディープラーニングの研究開発が進んだことで、ディープラーニング向けPCに求められるOSは「基本的になんでも良い」と考えて問題ありません。ただ、ハードウェアの都合や初心者でも扱いやすいOSという条件をふまえると、Windowsモデルの利用がおすすめです。

Windowsは最も普及しているOSであるとともに、マシンスペックも問わず運用でき、ディープラーニング向けソフトやフレームワークのバリエーションも豊富です。一方、Mac OSは本体のカスタマイズが難しく、Apple製のマシンでなければ基本的に扱うことができないため、運用に制限があります。Linuxも技術者向けのOSであるため、エンジニアリングに知見のない人が扱うとなると、ディープラーニングとは関係のないところで骨を折る場合もあります。

Windowsであれば、購入可能なマシンのバリエーションも豊富で、すでに扱い慣れている人も多いため、あらゆる人におすすめできます。

GPU

GPUはGraphic Processing Unitの略称であり、その名のとおり、本来はPCのグラフィック処理に特化したユニットです。ただ、近年はその処理能力の高さに注目が集まっており、ディープラーニング用PCの実装に当たっては最も重要視されています。

GPU選びにおいて注目したいのが、「ディープラーニング専用のコアを持っているかどうか」と「ビデオメモリの容量」の2つです。

たとえば、GPUメーカー大手のNVIDIAが提供している「Tensorコア」は、AI開発に特化した演算能力をGPUに与えるユニットですが、最新のNVIDIA製GPUにはこのようなコアを備えたモデルが登場しています。機械学習やディープラーニングに強いコアを備えたGPUを導入できれば、開発を有利に進められます。

ビデオメモリはGPUに備えられている機能の一つで、GPUを使って演算処理を行うデータを一時的に保存するためにあります。ビデオメモリに保存したデータからGPUは計算を行うので、ビデオもメモリの容量が大きければ大きいほど、計算速度も向上します。

ディープラーニングに強いコアとビデオメモリの両方に注目し、GPU選びにトライしてみましょう。

CPU

CPUはCentral Processing Unitの略称で、グラフィック以外の計算処理全般を担当しているユニットです。従来の機械学習はCPUを使って実行されていましたが、最近ではGPUにその役割が移ったことで、以前ほど注目されることはなくなりました。

ただ、CPUの性能が優れているほどコンピューターそのもののパフォーマンスに良い影響を与えるため、機械学習以外の処理速度を高め、結果的に業務の効率化につながります。CPUの良し悪しを見分ける上では、その処理速度を端的に表すクロック周波数、そしてCPUのモデルの新旧を表すアーキテクチャ、そして1回のサイクルの計算における命令回数に注目すると良いでしょう。

メインメモリ

メインメモリは、CPUが演算処理を行う前にデータを一時的に保存するためのユニットです。GPUのビデオメモリは、GPUの演算処理のための保存装置でしたが、メインメモリはCPUのための装置です。

そのため、メインメモリのパフォーマンスがどれだけ優れていても、GPUの演算処理能力にはほとんど影響しないので、ディープラーニング向けPCを購入する場合はメインメモリよりもビデオメモリやGPU本体にこだわることが大切です。

ストレージ

ストレージは、PC全体のデータを保存するための記憶媒体です。AI開発にはとにかく多くのデータを扱う上、ディープラーニングとなるとその容量もさらに増えます。

ただ、最近では外部のストレージやクラウドストレージを使って学習用データは保管するケースが一般的なため、本体ストレージに強くこだわる必要はありません。「あったら便利」程度に考えておき、GPUなどのスペックを重視すると良いでしょう。

ディープラーニング環境に適したPCの選び方のポイント

ディープラーニング環境に適したPC選びは、上記の必要スペックを踏まえた選定が必要です。注目すべきポイントとしては、主に次の3つです。

GPU性能を重視する

先ほども解説したように、ディープラーニングの開発で最も重要なのはGPUの性能です。GPUがディープラーニングの計算処理そのものを担うので、その良し悪しによって得られる成果も大きく異なります。

PCを新たに導入する場合、とにかくGPUの性能にこだわることで、失敗しないPC選びが実現します。

拡張性に注目する

ディープラーニングの開発が本格化すると、マシンスペック不足を補うための手立ても必要になります。Macのように拡張性の少ないPCだと、スペックが足りなくなると、マシンを買い換えるかクラウドサービスで拡充する以外の方法しかなくなってしまいます。

このような事態を避けるためにも、GPUを拡張できたり、ストレージを拡張できたり、ユニットを手動で入れ替えられたりする機構を備えたモデルを購入しましょう。

データ確保を前提とした予算でPCを調達する

マシンスペックへこだわることは確かに大切ですが、もう一つ注目しておきたいのが、学習データの確保です。ディープラーニングはとにかく多くのデータを必要とするため、学習データをすべて自前で用意することは困難です。

そのため、データの加工や生成、収集を外部の会社に委託したり、データセットを購入したりする必要がありますが、このための予算をマシンとは別途計上する必要があります。データがなければせっかくのハイスペックPCも性能を発揮できないため、データの確保にもある程度の予算を割いておきましょう。

ディープラーニング用PCは自作できる?

PC選びにおいては、一般に販売されているモデルの購入以外にも、自作でPCを組み上げるというユーザーも少なくありません。ゲーミングPCなどは自作で用意する人もいますが、もちろんディープラーニング用PCも自作で用意ができます。

自作PCのメリット

自作でPCを構築する最大のメリットは、好きなマシンをカスタマイズできる点にあります。お店では売っていない、細かな要件を満たしたPCも、自作であれば自分で条件に合うユニットを用意し、組み上げられるので、満足のいくPCを確保できます。

また、BTOパソコンのように外部に組み立てを依頼するよりも安くハイスペックPCを組み上げられる点も、メリットの一つです。

自作PCのデメリット

自作PCのデメリットは、組み上げに時間がかかる点が挙げられます。特にPCの扱いに慣れている人でなければ、正しく組み上げるのには技術と時間が必要なため、かえって負担が大きくなる場合があります。

また、正しく組み上げられなかった、ユニットが破損してしまった場合には、その分の時間と費用が無駄になってしまうため、PCの扱いに慣れていない場合にはおすすめできません。

ディープラーニングにおすすめのPC

最後に、ディープラーニングやAI開発に最適なPCをいくつかのシリーズからピックアップして紹介します。

DEEP∞

DEEP∞

画像引用元:パソコン工房

パソコン工房が展開するDEEP∞シリーズは、ディープラーニングをはじめ、AI開発に最適化されたモデルです。最新の第3世代Tensorコアを搭載している上、GPU本体も次世代モデルとして注目を集めるGeForce RTX 3090が備えられているなど、処理速度の向上に特化したカスタマイズが施されています。

AI機能を手軽に体験。デモソフト「ailia AI showcase」も標準搭載し、購入者のAI開発をサポートします。

CERVO Deep

CERVO Deep

画像引用元:アプライド

アプライドが提供するCERVO DEEOシリーズは、ビジネス向けの本格的なディープラーニング運用を検討している方におすすめのPCです。プロ向けのNVIDIA RTX™ A6000 を搭載しており、48GBものメモリも備えていることで、大容量のデータでも迅速に処理できることが特徴です。

別売りの専用 NVLink ブリッジコネクタを利用して 、2 枚の NVIDIA RTX A6000 を搭載することもでき、よりハイエンドな環境を必要とする場合にも対応できる拡張性を備えます。

G-Tune

G-Tune

画像引用元:Mouse

Mouseが提供するG-Tuneシリーズは、ゲーミングPCとして広く普及しているモデルですが、エントリー向けのディープラーニングPCとしても活躍できます。パフォーマンスこそ上記のモデルよりは劣るものの、高度なグラフィック処理に対応するGeForce RTX 3060を搭載し、通常のPCよりも優れた計算能力を発揮します。

価格も30万円以下で購入可能とコスト面でも導入しやすく、まずは機械学習の仕組みを理解するところから始めたい方におすすめです。

まとめ

ディープラーニング向けPC選びのポイントや、具体的なスペックの見方について解説しました。ディープラーニングを実現するためには相応のスペックがPCには求められ、要件を満たすためには予算もかかります。

また、ディープラーニングはPCさえあればできるものではなく、学習用のデータや開発者も必要になるなど、何かと負担の大きいプロジェクトです。これらの負担を軽減するための取り組みも、円滑なプロジェクト遂行には求められます。

当社モルゲンロットが提供する「M:CPP」は、そんなPCスペックの不足を補うためのGPUリソースを提供する、クラウドサービスを展開しています。AMD製の最新GPUサーバーを、必要なだけ利用できるため、ディープラーニングにおいても十分なパフォーマンスを発揮します。

MCPP

必要に応じてプランを柔軟に変更できるだけでなく、初期費用を抑えてGPU運用が可能なので、予算が心もとない場合でも活躍できます。利用にあたっては専有のGPUサーバーが使えるため、他のユーザーの干渉の心配もなく、サーバーのポテンシャルを発揮できます。

初めてのクラウドGPU利用という方でも安心して利用できるよう、導入に当たってはエンジニアがニーズに合わせておすすめのプランを組んだ上で提案するため、利用前の負担が大きくなることもありません。

ディープラーニング向けの環境構築にお悩みの際には、当社モルゲンロットまでお気軽にお問い合わせください。

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