【2023】機械学習でクラウドサービスを活用するメリット・デメリットをわかりやすく解説

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機械学習クラウドサービスメリット

近年、気軽に機械学習が体験できる「クラウドサービス」が増えてきています。たとえば、クリック1つで機械学習ができる「AIプラットフォーム」や、最新のGPUを格安で導入できる「クラウドGPU」など、さまざまなサービスがあります。

今回は、機械学習にクラウドサービスを活用するメリット・デメリットについて解説します。また、比較ポイントを踏まえて、当社モルゲンロットが提供するクラウドGPU「M:CPP」を紹介します。

機械学習で使われるクラウドサービスとは?

そもそも機械学習で活用できるクラウドサービスには、どのようなものがあるでしょうか?機械学習で使われるクラウドサービスは、主に次の3つです。

クラウドサービス例 特徴
AIプラットフォーム GPU・開発用エディタ・可視化ツールなど、AI開発に必要なシステムやツールが一つにまとめられたクラウドサービス
クラウドGPU 最新のGPUサーバーをクラウド上で利用できるサービス
クラウドストレージ 大容量のストレージがクラウド上で使えるサービス

それぞれのサービスで特徴が異なるため、目的に合わせて適切なサービスを選ぶ必要があります。各サービスの詳しい情報は、『機械学習用のクラウドサービスとは?種類とおすすめクラウドサービス』をご覧ください。

機械学習向けのクラウドサービスを活用するメリット

クラウドサービスには、オンプレミス型の機械学習向けサービスとは異なる良さがあります。ここではそのメリットについて、オンプレミス型のGPUと比較しながら解説していきます。

導入にかかるコスト・手間を削減できる

機械学習向けのクラウドサービスでは、GPU環境やフレームワークなどの開発環境がひと通りそろっています。そのため、GPUサーバーを購入したり、一から設定したりと、導入に必要な手間を削減できるメリットがあります。

また、機械学習用のオンプレミス型GPUを導入するには、初期費用だけでも「100万円以上」必要です。一方で、クラウドサービスを使えば、オンプレミス型GPUの「10分の1程度」の導入コストで済むメリットもあります。

機械学習用のシステム環境の大変さは、『機械学習のための環境構築方法は?必要な準備と手順』で詳しく解説しています。

ネット環境があればどこからでも利用できる

ネットやセキュリティ環境を整えられていない場合、オンプレミス型ではGPUマシンがある社内でなければ、操作することができません。一方で、クラウドサービスはネット環境さえあれば、社内に限らずどこからでも安全に利用できます。

作業が必要な状況でいつでも利用できるのは、クラウドサービスの大きなメリットといえるでしょう。

物理マシン用のスペースを用意しなくて良い

GPUマシンは、縦もしくは奥行き方向が長い直方体です。

たとえば、「幅400mm×高さ90mm×奥行800mm」の大きなマシンを置くスペースが必要です。また、物理マシンを複数台設置する場合には、GPUが熱で壊れてしまわないように冷却装置や冷却専用の部屋を用意する必要があります。そのため、据え置き型の場合には、物理マシン用のスペースを確保する必要があります。

一方で、クラウドサービスではベンダー側の物理マシンを使うことになるため、置き場所をわざわざ用意しなくても良いというメリットがあります。

GPUのスペックを必要に応じて調整できる

クラウドサービスの中には、契約するGPUの種類を選べるものもあります。

たとえば、お試しで機械学習を動かしてみたい場合には「ローモデルのGPU」で、本格的に稼働させたい場合には「ハイエンドモデルのGPU」といったように、自社の利用目的に合わせて選択可能です。

オンプレミス型であれば、一度購入した装置を使い続ける必要がある一方で、クラウドサービスではGPUのスペックを必要に応じて調整できるメリットがあります。

機械学習モデルの作成〜結果の可視化まで自動化できる

クラウドサービスのうち、AIプラットフォームであれば、機械学習モデルの作成から結果の可視化まで自動化できます。そのため、AIプログラミングができなくても、機械学習モデルをひと通り動かすことができます。

プログラミングのスキルやAIの知見に依らず、誰でも機械学習の一連の流れを体験できることは、AIプラットフォームの大きなメリットです。

エラーの原因を自動で検出してくれる

機械学習では、データがモデルに合っていない場合や、プログラミング内容が間違っている場合は、その間違いに対するエラーを解決するまで実行できません。

その点、AIプラットフォームでは、実行に関するエラーを自動で検出してくれる機能が付いているものもあります。そのため、複雑なエラーの原因を自分で解決する必要がなく、スムーズに機械学習ができるメリットがあります。

機械学習用のサンプルデータが用意されている

通常であれば、機械学習をするために社内のデータや公共データを収集し、モデルに合わせて加工する必要があります。

一方で、AIプラットフォームの中には、機械学習用のサンプルデータが用意されているものもあるため、データ収集にかかる時間を大幅に削減できるメリットがあります。

さまざまな分野の機械学習モデルが実装済み

機械学習をするためには、フレームワークを使ったり、一からアルゴリズムをプログラミングしたりする必要があります。そのため、プログラミングのスキルがない場合には、機械学習ができません。

一方で、AIプラットフォームではさまざまな分野の機械学習モデルが実装済みで、試してみたい時にプログラミングをしなくても試せるメリットがあります。

機械学習向けのクラウドサービスを使うデメリット

機械学習向けのクラウドサービスには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。それでは、クラウドサービスのデメリットについて解説していきます。

セキュリティがベンダーに依存される

クラウドサービスはベンダーがサーバーを管理するため、セキュリティがベンダーに依存されるデメリットがあります。そのため、ベンダー側のセキュリティが甘いと、サービスを通じてマルウェアに感染してしまう可能性があるため注意が必要です。

ブラックボックス化になりがち

AIプラットフォーム上の機械学習モデルを利用する場合には、アルゴリズムを知らなくても実行できてしまうため、「なぜその結果になるのか」を理解できません。AIプラットフォームに依存していると、中身がブラックボックス化になりがちなデメリットに注意が必要です。

システムのカスタマイズ性が低い

AIプラットフォームでは、クリック操作だけで行えるように既にツール化されているため、システムのカスタマイズ性が低いというデメリットがあります。ある程度実装できる方にとっては、使いたいフレームワークをカスタマイズできずに困る可能性も考えられます。

最新のAIモデルを利用できるわけではない

AIプラットフォームでは、機械学習用のモデルが使える場合もあります。ただし、転移学習によく利用されるモデルや、基本的なモデルを利用できる場合が一般的で、最新のAIモデルを利用できるわけではないというデメリットに注意してください。

【比較】代表的な機械学習向けクラウドサービスの特徴とメリット

クラウドサービスは、提供されているシステム環境やできることが大きく異なります。ここでは、代表的な3つのクラウドサービスの特徴とメリットを紹介します。

Vertex AI|GCP

Vertex AI|GCP

「Vertex AI」は、画像・テキスト・自然言語など、幅広い機械学習モデルを実行できるGoogle社のAI開発向けクラウドサービスです。また、Vertex AIの機能の一つである「TensorBoard」によるモデルの可視化機能が特徴的で、「モデルパラメータの変化やアルゴリズム、学習の推移」を確認できるため、機械学習のブラックボックス化を減らせるメリットがあります。

SageMaker|Amazon

SageMaker|Amazon

「SageMaker」は、データの準備から機械学習モデルの学習・調整・評価まで、一連の流れの自動化できるツールが特徴的なAmazon社のAI開発向けクラウドサービスです。また、SageMakerには、学習データやパラメータ設定、学習勾配などを監視するツールもあるため、自作したモデルやデータにエラーがあった場合にもすぐに解決できるメリットがあります。

Azure Machine Learning|Microsoft

Azure Machine Learning|Microsoft

「Azure Machine Learning」は、クリック操作のみで完結する機械学習ツールが特徴的なMicrosoft社のAI開発向けクラウドサービスです。また、Azure Machine Learningは、ほかのAzureサービスとの連携が可能で、データの保存や可視化、エラー追跡も同じクラウドサービス内で行えるメリットがあります。

機械学習用クラウドサービスの比較ポイント

さまざまな機械学習向けクラウドサービスの中から、自社に合うものを選ばなければ、運用に失敗してしまうケースもあります。ここでは、機械学習向けクラウドサービスの比較ポイントについて、特に重要な次の4点を紹介します。

  1. GPUの使用がしやすいかどうか
  2. データのアノテーションサービスの有無
  3. サポートの充実さ
  4. コストに見合ったサービスかどうか

GPUの使用がしやすいかどうか

機械学習モデルの中には大規模なモデルもあるため、処理能力が高いGPUが必要です。そのため、検討中のクラウドサービスで、GPUが使いやすいかチェックすると良いでしょう。

プログラミングをしなければGPUが使えないものや、クリックだけで使用できる簡単なものなど、サービスによってGPUの使用難易度はさまざまです。システム環境で時間を取られたくない場合には、特に重視すべきポイントといえます。

データのアノテーションサービスの有無

AIプラットフォームでは、データのアノテーションサービスを利用できる場合があります。アノテーションサービスとは、画像に対して説明をつけてくれるサービスのことです。

たとえば、ポメラニアンの画像であれば「犬」、女の子の画像には「人間」というように、人が画像を見てその画像の説明となるラベルを付ける作業を任せられます。

通常は、大量のデータに対するアノテーション作業も自分で行う必要があるため、データを用意するだけで何時間もかかってしまいます。そのため、データの準備にかかる時間を削減するためにも、アノテーションサービスを利用できるかどうかを確認すると良いでしょう。

サポートの充実さ

サポートの充実さも、クラウドサービスを比較するうえで、重要なチェックポイントです。たとえば、日本語でのサポート機能や電話やチャットで直接質問できるサービスなど、クラウドサービスによって利用できるサポート内容や方法が大きく異なります。

特に初めてクラウドサービスを利用する場合には、スムーズに機械学習をするうえで、専門家にいつでも頼れる状況があるかどうかを必ずチェックすると良いでしょう。

コストに見合ったサービスかどうか

クラウドサービスを比較するうえで、コストに見合ったサービスかどうかも重視すべきポイントです。たとえば、同じくらいの費用負担が必要な場合には、次のようなサービス面を比較してみてください。

  • GPU・CPUのスペックは十分か
  • 機械学習用のフレームワークは使いたいものをインストールしてもらえるか
  • 開発環境の構築をサポートしてもらえるか

それなりの費用負担が必要であるにもかかわらず、サービス内容が薄い場合には悪質なサービスの可能性があるため、コストとサービスのバランスもしっかりと確認すると良いでしょう。

機械学習用のクラウドGPUサービスなら「M:CPP」がおすすめ

MCPP

さまざまな機械学習向けのクラウドGPUサービスが提供されていますが、もっともおすすめなのは、当社モルゲンロットが提供する「M:CPP」です。

M:CPPには、機械学習に必要なシステムや機能が多数搭載されています。最後に、M:CPPの特徴やおすすめできる理由について解説していきます。

M:CPPの特徴

M:CPPは、大手半導体メーカーのAMD社の「ハイエンドモデルのGPU」を好きなタイミングで利用できるクラウドGPUサービスです。M:CPPの特徴は次のとおりです。

  • 「ベアメタル」と「プリインストール」のどちらも選べる
  • 専有サーバーとして利用できる
  • AnacondaもしくはDocker環境での環境構築をサポートしてもらえる
  • CPUの変更やHDDの増設など、GPU以外のスペック調整も可能
  • ローモデル・ミドルモデル・ハイエンドモデルの3つのプランから選べる

M:CPPは、利用者の既存環境やニーズに合わせてGPUサーバーのオーダーメイドが可能で、カスタマイズ性に優れています。なお、M:CPPについてさらに詳しく知りたい方は、『GPUクラウドサービスなら「M:CPP」!概要とおすすめの理由』をチェックしてみてください。

M:CPPのメリット

M:CPPを利用すれば、大手クラウドサービスと比較して「2分の1以下」の費用負担で導入・運用できるメリットがあります。M:CPPが格安で提供できる理由は、比較的安価なAMD社のGPUサーバーを提供しているからです。

M:CPPを利用すれば、他のクラウドサービスを利用するよりも、長期的にみてかなりお得になります。どれくらいお得になるか気になる方は、『AWSとM:CPPのコストパフォーマンスを比較する』をチェックしてみてください。

まとめ

近年、機械学習の一般化が進んだことで、多種多様な機械学習向けのクラウドサービスが提供されています。

クラウドサービスには、導入にかかるコストを削減できたり、マシンを置くスペースがいらなかったりと、利用上でのメリットが多くあります。ただし、自社のシステム環境や機械学習の目的に合わせてサービスを選ばなければ、そのメリットがゼロになってしまう可能性もあるため注意が必要です。

さまざまなニーズに合わせて柔軟に対応できるクラウドGPUサービスとしておすすめなのが、当社モルゲンロットが提供する「M:CPP」です。M:CPPは、AMDのGPUサーバーを費用相場の半分以下の金額で利用でき、気軽に始められるメリットがあります。

MCPP

そのため、機械学習事業を先延ばしにしていた企業の皆さまも、まずは当社のM:CPPを利用し、機械学習を試してみてはいかがでしょうか?

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