【2022】GPUメモリ(VRAM)とは?不足を解消する方法と選び方

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ITシステムの普及に伴い、従来よりも高性能なハードウェアの備えが多くの組織で必要とされています。ハードの買い替えを進める際、重視されているのがGPUですが、GPUのスペックを考える上でそのメモリ容量は欠かせません。

今回は、そんなGPUメモリの容量が重視されている理由や、GPUを選ぶ上でのポイントについて解説します。

GPUとは?

GPU

そもそも、GPUはGraphic Processing Unitの略称で、その名のとおりコンピュータのグラフィック描画処理を担当するユニットです。コンピュータの全般的な演算処理はCPUが担いますが、グラフィックに関してはその負荷の大きさから、CPUとは独立して処理が行われます。

最近では、そんなGPUの高い処理能力を活かして、グラフィック以外の分野でも活躍しています。CPUとは異なり、GPUは同種の演算処理を同時に実行できる並行処理の機能を備えています。そのため、同様のタスクが複数発生する処理に対しては全般的に強く、CPU以上の計算能力を発揮します。

GPUメモリ(VRAM)の役割

GPUメモリ(VRAM)の役割

GPUのパフォーマンスを支えているのが、GPUに搭載されたメモリ、いわゆるVRAMと呼ばれるパーツです。

GPUメモリは、GPUが処理するタスクを一時的に保管し、演算処理を高速で行うために不可欠な要素です。GPUメモリにタスクをセーブすることで、直接的な負荷を抑えながら、それでいて高速での演算処理を実現します。

GPUメモリは、大きければ大きいほど一時的に保存できるタスク容量が増えるため、メモリの大きさは演算処理の速さに直結します。GPUメモリが小さいと、一度にセーブできるタスクの量が少なくなり、何度もメモリにタスクを保存しなければならないためです。

そのため、パフォーマンスに優れるGPUほどGPUメモリの容量も大きくなることが一般的です。

GPUメモリが重視される背景

GPUメモリが重視される背景

グラフィック描写を支えるだけのユニットと考えられてきたGPUは、ここ10年ほどでその価値は大きく変容しています。GPUメモリのような詳細なスペックにまで注目が集まるようになった理由として、次のような原因が考えられます。

AIやディープラーニング技術が発展したため

GPU普及の背景の一つに、AI技術の発展が挙げられます。

GPUは元々グラフィックに特化したユニットでしたが、2010年代よりAI運用にも採用されるようになっていきました。それまでAI開発における機械学習ではCPUの採用が一般的だったのが、ディープラーニングの台頭に伴いより優れた演算処理が求められるようになったのです。

通常の機械学習と比較して、ディープラーニングはより多くのデータを必要とするため、効率良く計算ができる設備が必要です。そんなときに導入が進められたのがGPUですが、これはGPUの並列演算処理能力の高さを期待してのものでした。

ディープラーニングもグラフィックの処理同様、多くの同一タスクが発生するため、GPUを使ったディープラーニング活用は大きな成果を納め、それ以来世界中の研究機関でAI開発にGPUが採用されています。

映像技術が発展したため

映像技術が以前に比べて高度になっていることも、GPU需要の拡大の背景に挙げられます。

コンピュータのグラフィック処理は元々CPUが対応していましたが、GPUにそのタスクが移行したのは、CG技術や映像技術の向上です。映像技術の進化は現在進行形で続いており、より高度な編集ソフトやハードウェアが求められています。

4Kや8K映像など、従来のPCでは対応できないような高度な映像も、メモリ容量に優れる最新のGPUがあれば安心です。

ブロックチェーン技術が発展したため

GPUが注目を集めるもう一つの領域が、ブロックチェーンや仮想通貨の領域です。

ブロックチェーン技術を採用した仮想通貨は、その通貨価値を維持するために延々とマイニングと呼ばれる計算処理を行わなければなりません。データマイナーと呼ばれる仮想通貨の演算処理に携わる人や組織は、優れた計算能力を持ったコンピュータを用意することで、より多くの仮想通貨を獲得することができます。

この際に活躍しているのが、GPUを搭載したサーバーです。GPUの高度な演算処理能力はデータマイニングの領域でも活躍しており、多くの富をもたらす「掘削機」として稼働しています。

仮想通貨ブームの到来によって多くの最新型GPUがデータマイニングに投下されているため、一部ではGPUの供給不足も発生しています。

GPUメモリが不足するとどうなる?

GPUメモリが不足するとどうなる?

今日、高度なGPU設備が求められていますが、GPUのスペックを評価する上で、GPUメモリの存在は欠かせません。GPUメモリが不足することで、次のようなトラブルが懸念されます。

画像・映像が正しく表示されない

まず、映像処理の分野においては、GPUメモリが不足するとグラフィックの描写が正しく行われなくなります。

GPUメモリの容量が少ないと、一度に処理できる映像データの数が少なくなるため、必然的に画像も期待しているようなスピードでの表示ができなくなります。画像がモザイク状で表示され、なかなか綺麗な映像を見ることができなかったり、映像に遅延が現れ、音声と映像の出力にラグが生まれてしまったり、再生が停止してしまったりすることがあります。

特に、4Kや8Kといった高度な映像表現を体験しようとすればするほど、メモリ容量の大きさが重要になります。

処理が極端に遅くなる

映像表現だけでなく、データマイニングやディープラーニングといった処理を実行する際にも、極端にパフォーマンスが遅くなってしまう恐れがあります。どれくらい遅くなるかについては実際に運用してみなければわかりませんが、遅々としてデータ処理が進まず、まったく成果を得られないという事態に陥りかねません。

特に、ディープラーニングのような膨大なデータを処理する必要のあるタスクは、スケジュール期間内に処理を終えられないと、期待していたような成果をAI開発から得られなくなり、投下した予算を回収できない恐れもあります。ビジネスとしてAI開発を推進したい場合、十分なGPUリソースを確保する必要があるでしょう。

PCがフリーズする

処理があまりにも重すぎると、そのままコンピュータが機能を停止し、フリーズするケースもあります。

たとえ処理が遅くともまだ動いているうちは良いのですが、コンピュータが停止してしまうと多くのタスクに弊害を及ぼします。これまで進めてきた処理が保存されず、最初からやり直しとなってしまったり、データが消失して取り返しのつかない事態になったりする可能性もあります。

作業中はこまめな保存はもちろんですが、GPUメモリ容量に優れたグラフィックボードを導入し、フリーズが起こらないようなスペックを備えておくことが大切です。

必要となるGPUメモリの容量

それでは、業務を遂行するために必要なGPUメモリはどれくらいなのでしょうか?

結論からお伝えすると、高度なGPU演算を必要としている場合、最低でも16GBのモデルを導入することをおすすめします。近年のGPUの多くは8GBか16GBが一般的ですが、16GBのモデルを選ぶとなると、8GBのモデルよりも大きな価格の違いがあるため、8GBのものを選んでしまう人も多いものです。

しかし、あらかじめGPUに負担のかかる業務を想定している場合、初期投資と考えて16GBのモデルを選ぶことをおすすめします。16GBのメモリ容量は、既存モデルのGPUとしてはハイスペックな部類に入るため、大抵のGPUタスクには対応することができます。

本格的なディープラーニング運用などを考えている場合は、GPUをサーバーごと導入する必要がありますが、そのときもできるだけメモリ容量の大きなGPUを採用したサーバーを選ぶと良いでしょう。

GPUメモリの不足を解消する方法

GPUメモリの不足を解消する方法

GPUメモリの不足を補うための方法としては、一般的に次の2つの方法が挙げられます。

グラフィックボードの買い替える

一つ目の対処法は、グラフィックボードの買い替えです。古いGPUを長年使い続けている場合、現在の技術要件を満たさないモデルであることがほとんどであるため、最新モデルへの換装を進めましょう。

GPUに負荷のかかる業務に携わっている場合、大体5年前後での買い替えが目安となります。10年近く使い続けることは難しいため、GPUだけでも換装をすすめることをおすすめします。

グラフィックボードを増設する

現在使用中のモデルと同じグラフィックボードが手に入る場合には、増設によってスペック不足を補うこともできます。いわゆるマルチGPU運用と呼ばれる手法ですが、2枚のGPUを使って演算処理に当たるので、1枚の時よりも優れたパフォーマンスを期待できます。

ただ、GPUが2枚になったからといって、必ずしも性能が2倍になるとは限りません。また、同じGPUを2台用意するのであれば、ほとんどの場合で最新のGPUを新たに購入した方がコストパフォーマンスにも優れます。そのため、たまたま2枚GPUがある場合に試してみるくらいの気持ちで考えておくと良いでしょう。

GPU選びのポイント

GPU選びのポイント

GPUメモリの都合を考えた上で、最後にGPU選びにおける3つの注意すべきポイントを紹介します。

メモリ容量は大きいに越したことはない

まず、メモリ容量については大きければ大きいほど良いと考えて間違いありません。

メモリ容量とGPUの演算処理能力は必ずしもイコールというわけではありませんが、少額の予算オーバーでメモリ容量に優れたモデルが手に入るのであれば、こちらの購入をおすすめします。特に、演算処理能力単体で選ぶと予算のギャップが大きくなりすぎるという場合はメモリ容量に目を向けてみると良いでしょう。

予算で用意できる最新のGPUを導入する

GPUは、できる限り最新のモデルを導入することも失敗しないためのポイントです。

GPUは毎年バージョンアップしたモデルが各社から展開されていますが、その時々で最新のモデルから購入を検討しましょう。最新のGPUは単に演算処理能力やメモリ容量で優れているだけでなく、AI開発に最適化されていたり、他社製品とのマルチGPUに対応していたりと、汎用性に優れる機能が搭載されています。

最新の開発環境への適応力が高い商品が揃うため、多少価格が高くとも、新しいGPUの導入を進めることをおすすめします。

クラウドGPUの活用を検討する

とにかく多くのGPUリソースを必要としているけれど、GPUを購入する予算がないという場合には、クラウドGPUの活用がおすすめです。クラウド経由でGPUリソースを利用できるので、GPUを購入する必要がなく、月々の利用料金を支払うだけで十分なリソースを確保できます。

料金は多くの場合従量課金制であり、使った分だけ支払えば良いため、マシンスペックが無駄になる心配はありません。GPUを買い換える必要もなく、GPUを運用するための光熱費も発生しないので、長期的にみてもコストパフォーマンスに優れる方法です。

まとめ

GPUメモリの役割や性能の違いについて紹介しながら、GPU選びのポイントについて解説しました。GPUメモリの容量は、大きければ大きいほど演算パフォーマンスに用意影響を与えるため、処理能力と同様に重視したいポイントです。

また、十分な量のGPUリソースを必要としている場合には、M:CPPのクラウドGPUサービスがおすすめです。大手クラウドサービスよりもコストを抑えてGPUを利用でき、戦友サーバーが提供されるので、GPUも常に高いパフォーマンスで利用可能です。

まとまったGPUリソースをお探しの際には、当社モルゲンロットが提供している「M:CPP」へお気軽にご相談ください。

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